2025.07.31
- 楽しみ方
ピリ辛料理とワインの調べ
いよいよ8月です。今年の夏は、35℃を超える猛暑日が続いていますが、こんな時はキンキンに冷えたワインが美味しいですよね。
そして、夏はなぜかスパイシーなお料理が欲しくなるもの。スパイスの効いたエキゾチックなお料理は南国気分を味わえ、いつもの食卓も夏仕様に。
とはいえ、ただでさえ暑い季節なので、台所仕事も手軽に済ませたいものです。
そこで、今回は調理も簡単なピリ辛料理とのペアリングで、真夏のワインの楽しみ方をお届けします。
■夏にスパイスの効いたお料理が欲しくなるワケ
みなさんは、スパイスの効いたお料理はお好きでしょうか。普段はそれほど食べることがない方でも夏はなんとなくピリリと辛さのあるお料理が美味しく感じることはありませんか。
これには体内のメカニズムに則した理由があるようです。

辛味成分であるカプサイシンは、体内の体温を上昇させる効果があります。
また脳内にアドレナリンを分泌し、運動したときと同じように体温が上昇するとともに発汗が始まり、結果的に身体を涼しく冷やすことができるそう。
これらの一連の作用で、カプサイシンを含む物を食べると、体感的には熱を持ち、その後で涼しさが得られるという訳です。
タイやメキシコなどでは、辛いお料理がたくさんあるのもこんな理由からなのかもしれません。
■ピリ辛料理とワインの意外な相性
さて、ワインというと西洋料理をイメージしがちかと思いますが、ワインは世界中で愛されている飲料であり、アジア圏でも消費を伸ばしている国があります。それが中国です。
世界のワイン消費量が今世紀最大となった2018年のデータでは、アメリカ、フランス、イタリア、ドイツに次いで、中国と世界のワイン大国に迫る勢いでした。
ここ数年で中国でのワインブームはやや下火になったものの、それでも2020年は6位、2022年は7位と上位をキープしています。

参考URL:お酒全般の情報サイト「アルコログ」
図解■ ワインの生産量と消費量ランキング【世界】
https://www.alcholog.com/1516/
図解■ ワインの生産量と消費量ランキング2022【世界】
https://www.alcholog.com/5464/
そんな中国の食といえば、北京・上海・広東・四川などの四大地域がありますが、辛い料理で有名なのは四川料理でしょう。
四川料理は辛さもありますが、豆板醤や甜麺醤のように醤(ジャン)と呼ばれる発酵調味料をよく使用し、旨味もあります。
それゆえ、濃いめの味付けになることが多いですが、ワインも発酵食品ですから合わないわけがありません。

一般的に唐辛子の効いた辛いお料理には、白ワインか渋み成分であるタンニンが少ない赤ワインで、アルコール度数が低めのものがよいです。
また、果実味が豊かなワインや甘さのあるワインも辛さをマイルドにし、食べ易くする効果があります。
インドカレーに甘いラッシーが組み合わせられるのもこうした理由からではないでしょうか。「辛いけど、美味しい」といったループを楽しむ飲み物としてワインは案外良きパートナーなのです。
エキゾチックな真夏のワインの楽しみ方
さあ、それではピリ辛料理に合うおすすめペアリングを一挙ご紹介します。
今回のセレクトワインはすべてビシクレタ レゼルバ シリーズからチョイスしました。
ビシクレタ レゼルバ シリーズは品種単位では11品種、その他2アイテムとコノスルの各シリーズの中でもバリエーション豊か。
この中の一つ「ビシクレタ レゼルバ ヴィオニエ」を辛味の強い四川麻婆豆腐と合わせてみました。

ビシクレタ レゼルバ ヴィオニエ×四川麻婆豆腐
ヴィオニエはフランスのローヌ北部のコンドリューが原産地の白ブドウで、白桃やアプリコット、オレンジなどの甘いフルーツの香りや、ジャスミンやキンモクセイのようなフローラルな香りが特長のアロマティック品種です。
一般的にアロマティック品種は樽熟成を行わないことが多いのですが、ヴィオニエは熟成のポテンシャルも高く、樽を使って熟成されることもしばしば。ビシクレタ レゼルバ ヴィオニエは5%とごくわずかですが、樽熟成したものとステンレスタンクのワインをブレンドしています。
その結果、ワインに複雑性が生まれ、ボリューム感と酸を感じつつ口当たりは柔らかです。樽熟成由来のナッツの風味も加わり、マイルドな余韻が楽しめます。

通常の麻婆豆腐でももちろん合いますが、より辛さの強い四川麻婆豆腐にも難なく合いました。ビシクレタ レゼルバ ヴィオニエのボリューム感と丸いストラクチャーが麻辣の辛さやしびれを柔らかく包みながら、コクのある味わいを引き上げ、美味しさを増幅させている印象です。これは新しい発見でした。
ビシクレタ レゼルバ ピノ・ノワール ロゼ ×ヤンニョムチキン

ピリ辛料理といえば中国だけではありません。お隣、韓国もピリ辛料理の宝庫です。
お次は、甘辛ミックスのタレとして人気の薬念醤(ヤンニョムジャン)を唐揚げに絡めただけの超お手軽なヤンニョムチキンとビシクレタ レゼルバ ピノ・ノワール ロゼの組み合わせです。

ビシクレタ レゼルバ ピノ・ノワール ロゼは、ピノ・ノワール100%で造られた果実味豊かでジューシーなロゼワインで、チェリーを思わせる赤い果実の香りがとってもチャーミングです。
お料理の味の主軸となるヤンニョムジャンは、唐辛子をベースに、醤油、ニンニク、生姜、ネギ、ごま油など様々な材料を混ぜて作られます。
辛さはそれほど強くなく、甘さもある味わいなので、果実味と酸味があるワインがとても良く合います。

同じくビシクレタ レゼルバのリースリングも好相性。リースリングは酸味と甘みのバランスが絶妙で、味わいのコントラストもはっきりとしており、甘さのあるお料理にうってつけ。唐揚げの油分も爽やかな酸で美味しくいただけました。
ビシクレタ レゼルバ ゲヴュルツトラミネール×グリーンカレー
最後は、私の一押し、ビシクレタ レゼルバ ゲヴュルツトラミネールとグリーンカレーのペアリングです。
グリーンカレーといえば、ココナッツミルクやナンプラーのフレーバーが異国情緒あふれるエスニック料理の真骨頂のようなお料理ですが、ビシクレタ レゼルバ ゲヴュルツトラミネールのライチやマスカット、メロン、バラの花びらの甘くエキゾチックな風味がベストマッチ。
もうゴールデンコンビといってもいいくらいです。

グリーンカレーだけでなくマッサマンカレーなどのエスニックカレー全般によく合います。ワインの香りは甘やかですが、味わいはクリアでドライですので、飲み飽きることもありません。単体でも十分楽しめるワインですが、それ以上にエスニック料理との相性がすこぶるよく、食卓を囲みながら旅している気分になれるワインです。
ちなみに今回ご紹介したお料理は、いずれも合わせ調味料などがレトルトになったものばかり。温めるだけや具材と混ぜるだけの超簡単料理です。スーパーマーケットなどで多数アイテムがありますので、お好みの辛さレベルなどに合わせて選んでみてください。
暑い夏ですが、暑い夏こそのワインの楽しみ方があります。ぜひ、真夏のワインを楽しんでくださいね。

この記事で紹介したワインはこちら
ビシクレタ レゼルバ ヴィオニエ

ビシクレタ レゼルバ ヴィオニエ
鮮烈なアプリコット、白桃、クチナシの香りに微かな樽熟成によるナッツのノートが複雑性を与えている。ボリューム感と酸を感じるが口当たりは柔らか。微かに樽熟成を感じさせるナッツの風味があり、マイルドな余韻が楽しめる。
ビシクレタ レゼルバ ピノ・ノワール ロゼ

ビシクレタ レゼルバ ピノ・ノワール ロゼ
フレッシュでエレガント、チェリーを思わせる赤い果実の香り。ジューシーで柔らかな口当たり。赤い果実の風味豊かで爽やかな味わい。
ビシクレタ レゼルバ ゲヴュルツトラミネール

ビシクレタ レゼルバ ゲヴュルツトラミネール
鮮烈なライチの香りや、マスカット、メロン、バラの花びらの甘くエキゾチックな香りが印象的。香りがそのまま味わいにつながるような独特の風味が特長。クリアーで雑味がなく飲みやすい。しっかりとした酸味で、香りの印象に比べドライな味わい。
この記事を書いた人

ソムリエ
たけうち あけみ
竹内 綾恵美
- (一社)日本ソムリエ協会認定 ワインエキスパート
- SAKURAアワード2024 審査員
料理が大好きで、国内外問わず、旅先では必ず市場を訪れる。ワインに出会い、味わいはもちろんのことワイン文化の奥深さに魅了される。
2019年にワインエキスパート取得し、ワインと食の追求に邁進する日々。