2025.09.29
- 楽しみ方
深まる秋に、Book&Wine
やっと秋の訪れを感じる今日この頃。日が沈むとひんやりとした風が心地よく、日毎に夜の時間が長くなるにつれ、普段読めていなかった本を開いたり、好きな映画を鑑賞したり・・・。そして、傍らには、お気に入りのワインも。そんなゆったりとした自分時間を過ごすのに最適な季節ですよね。
今回はワインにまつわるエピソードやワインが登場する本や映画のワンシーンを切り取りつつ、この時期ならではのワインの楽しみ方をご紹介します。
■空前の赤ワインブームで「チリカベ」が定着

ワインが「キリストの血」といわれるように、宗教上、歴史上において、様々な局面で登場してきたワインは、人々の営みにおいて欠かせないものの一つといっても過言ではないでしょうか。また、ワインにまつわる小説や映画も多く存在することから、ワインの持つエピソードの豊富さもワインの魅力の一つでしょう。
また、ワインは近年の健康志向からその機能性についても注目を集めています。一例として、1990年代に日本で起こった赤ワインブームはご存知でしょうか。このブームは「フレンチ・パラドックス」がきっかけといわれています。これは、動物性脂肪の摂取量が多いフランス人が心臓病になる割合が比較的低いというデータがあり、その理由は赤ワインに含まれるポリフェノールにあるのではないかという説です。
そこで、ポリフェノールが多く含まれるカベルネ・ソーヴィニヨンへの関心が集まり、空前の赤ワインブームが起こります。この時に生まれた言葉が「チリカベ」です。チリ産のカベルネ・ソーヴィニヨンワインは果実味に溢れており飲みやすく、かつ安価で高品質という理由から消費者の間で広く人気を得ました。この赤ワインブームを機に日本でも確実な支持を得たチリワインは、赤ワインを飲むなら「チリカベ」と呼ばれるほど定着しました。

そんなチリワインの魅力を存分に堪能できる小説があります。『Sideways 3Chile(サイドウェイズ3 チリ)』です。これは『Sideways(サイドウェイズ)』という小説の最終巻で、主人公のマイルスがワイン雑誌の取材でチリを訪れ、チリの多様なワインとその文化に触れることで、新たなワイン観を獲得していく様子が描かれています。2004年にはこの『Sideways(サイドウェイズ)』はアメリカで映画化され、リメイク版が日本でも公開(2009年)されました。
このように、ワインの持つ影響力の大きさを感じつつワインを楽しむなら、ビシクレタ レゼルバ カベルネ・ソーヴィニョンがおすすめです。コノスルのビシクレタ レゼルバ・カべルネ・ソーヴィニヨンは、深いルビー色が美しく、香りは、カシス、チェリー、プラムの他、ミントやコショウなどスパイスの香りがワインに複雑性を与えています。熟成は6ヶ月で、30%をミディアムトーストのフレンチオーク樽、70%をステンレスタンクで行っています。そのため、味わいはエレガントながらも、しっかりとした骨格を持つ、果実味豊かで深い味わいのワインです。コノスルの洗練された技術とチリにおけるワインの多様性を紐解いてみたくなる・・・そんな、ひとときになるでしょう。

■名脇役はワイン
お次は映画のワンシーンから。映画やドラマにおいてワインが登場するのは珍しいことではありませんが、特に印象深いシーンとしてワインが扱われている作品をご紹介しましょう。
2012年に公開された『大統領の料理人』は、ミッテラン元大統領に仕えたダニエル・デルプシュをモデルにしたフランスの伝記映画です。この中で、大統領のプライベート・シェフであるオルタンスが厨房にいると、大統領がこっそり現れて旬のトリュフの話をします。するとオルタンスはカリカリに焼いたバゲットにたっぷりのトリュフをのせた「トリュフ・タルティーヌ」と赤ワインをサーブします。大統領はとてもリラックスした雰囲気でワインとトリュフ・タルティーヌを楽しみ、オルタンスをそっと勇気づけます。
料理とワインをこよなく愛する二人ならでのやり取りがとても心地よく、思わずワインが飲みたくなります。

映画で登場するワインは、フランスのローヌ地方にあるシャトー・ラヤスの1969年ものでグルナッシュ100%ですが、同じローヌ原産の品種といえばシラーがあります。そこで、コノスルのビシクレタ レゼルバ シラーはいかがでしょうか。
イチゴやイチジクのジャムのような濃厚な香りに、シラー独特のスパイシーさもかすかに感じられます。そして、豊富なタンニンと、質感あふれる口当たりが印象的で、ベルベットのようなスムーズな舌触りとボリューム感が楽しいワインです。
芳醇なトリュフとも相性は抜群で、まさしく映画の世界にどっぷり浸れそうです。
■ワインの楽しみ方を教えてくれたこの一冊
そして、お料理とワインのペアリングのバリエーションをグーンと広げてくれた一冊があります。日本におけるソムリエの第一人者である田崎真也さんの著書『田崎真也の今日は、このワイン~ワインと料理のすてきな関係~』です。

この本では、日々の食事とワインをより楽しく豊かにするためのノウハウを紹介しています。1997年発行の本なのでだいぶ以前のものですが、ワインに馴染みのない方でも、ワインをより身近に感じ、毎日の食事が一層楽しくなるようなヒントを得ることができます。
当時、まだ学生だった私は、アルバイト先のレストランでこの本を片手に、料理とワインについて学んだ1冊でもあります。そんな若かりし時代を思い出しながら作ったシャインマスカットとマスカルポーネのカプレーゼ風に合わせて、ビシクレタ レゼルバ ゲヴュルツトラミネールをセレクトしてみました。こちらは、手摘みで収穫したゲヴュルツトラミネール100 %で造られており、ライチの香りや、マスカット、メロン、バラの花びらのような甘くエキゾチックな香りが印象的なワインです。しっかりとした酸味で、香りの印象に比べ味わいはドライです。クリアーで雑味がなく飲みやすく、フルーツを使った料理やスパイスの効いた料理など幅広い料理に合います。
ビシクレタ レゼルバシリーズの中でもお気に入りのワインです。今日はどんなお料理を作ってみようかなと思わせてくれるワインでもあります。

さらにもう一つ、チリを代表するブドウ品種として近年、人気急上昇中のカルメネール主体の赤ワイン、ビシクレタ レゼルバ カルメネールも今回、ぜひおすすめしたい1本です。ワインの世界的権威であるヒュー・ジョンソン氏とジャンシス・ロビンソン氏が執筆した、ワインの世界的な百科事典『世界のワイン図鑑(The World Atlas of Wine)』では、カルメネールがボルドー原産でフィロキセラ禍後にチリで再発見され成功した品種として解説されています。ボルドーでの歴史やチリでの再発見の経緯、カルメネールの品種の特徴も紹介されています。
ビシクレタ レゼルバ カルメネールは、深みのあるルビー色で黒コショウのようなスパイスの香りと熟したブルーベリーの果実香、さらにコーヒーなどの熟成香があります。味わいはフルボディで質の良い酸味とまろやかなタンニンがあり、余韻は長めで非常にバランスの良いワインです。お肉料理全般によく合い、伸びやかな余韻が秋の夜長に寄り添ってくれそうです。チリワインをもっと知りたくなるそんなワインでもあります。
いかがでしたでしょうか。今回はワインにちなんだ本や映画を交えてのコノスルワインのご紹介でした。気になるワインと一緒に深まりゆく秋を楽しんでくださいね。
この記事で紹介したワインはこちら
ビシクレタ レゼルバ カベルネ・ソーヴィニョン

ビシクレタ レゼルバ カベルネ・ソーヴィニョン
鮮烈なカシス、チェリー、プラムの香りに、ミントやコショウなどスパイスの香りが複雑性を与えている。エレガントでしっかりとした骨格を持つ、果実味豊かで深い味わいのワイン。
ビシクレタ レゼルバ シラー

ビシクレタ レゼルバ シラー
イチゴやイチジクのジャム、煮詰めた赤い果実の濃厚な香り。シラー独特のスパイシーさも微かに感じられる。豊富なタンニンと、質感あふれる口当たりが印象的。やや若さはあるもののベルベットのような滑らかさ、スムーズな舌触りとボリューム感が味わえる。
ビシクレタ レゼルバ ゲヴュルツトラミネール

ビシクレタ レゼルバ ゲヴュルツトラミネール
鮮烈なライチの香りや、マスカット、メロン、バラの花びらの甘くエキゾチックな香りが印象的。香りがそのまま味わいにつながるような独特の風味が特長。クリアーで雑味がなく飲みやすい。しっかりとした酸味で、香りの印象に比べドライな味わい。
ビシクレタ レゼルバ カルメネール

ビシクレタ レゼルバ カルメネール
黒コショウのようなスパイシーな香り、熟したブルーベリーの果実香、コーヒーなどの香り。フルボディで質の良い酸味、まろやかなタンニンがあり、バランスの良い味わい。余韻は長め。
この記事を書いた人

ソムリエ
たけうち あけみ
竹内 綾恵美
- (一社)日本ソムリエ協会認定 ワインエキスパート
- SAKURAアワード2024 審査員
料理が大好きで、国内外問わず、旅先では必ず市場を訪れる。ワインに出会い、味わいはもちろんのことワイン文化の奥深さに魅了される。
2019年にワインエキスパート取得し、ワインと食の追求に邁進する日々。