2025.08.22
- 楽しみ方
日頃の食事とワインのペアリングで夏バテ解消!
暦の上では「立秋」を過ぎましたが、まだまだ暑さが残る9月。この暑さに身体も気分もお疲れ気味という方も多いのでは? そんな時、積極的に摂取すると良いといわれているのがビタミンB1、ビタミンC、ミネラルなど疲労回復に効果的な栄養素です。
また、消化の良いものや、食欲をそそる酸味のあるものを取り入れるのもポイント。ワインには味わいの重要な構成要素に酸味があります。また、赤ワインには抗酸化作用があるといわれているポリフェノールもたっぷり。
そんなワインと夏の疲労回復にうってつけな食材を使って夏バテ解消ワインペアリングをお届けします。
■火照った身体をクールダウン
こう暑い日が続くと、体内に熱がこもったように感じることがあります。いくら冷たい水を飲んでも、気休め程度。ところが、夏野菜を摂取すると一気にクールダウンした経験はありませんか。
私個人の体験談ですが、夏の沖縄でのこと。街歩きをし、暑さでフーフーいっていると国際通りのアーケード街でゴーヤ100%ジュースを発見。直観的に「いいかも!」と思い、120ccほどのゴーヤジュースを購入し飲み干すと、あら不思議。スーッと体温が下がった感覚があり、体がすっきりしました。
夏野菜には体を冷やす効果があるといわれますが、多くの場合、水分とカリウムを豊富に含んでいるためだとか。カリウムは利尿作用があり、体内の熱を水分と一緒に排出するのを助けるのだそうです。こうした食材を上手に活用して、体温調節を心がけることが暑い夏を乗り切る秘訣なのかもしれません。

■この時期こそ活用したい百薬の長
「酒は百薬の長」という諺がありますが、適量のお酒はどんな良薬よりも効果があるといわれてきました。お酒を飲むことは、ストレスの緩和や食欲増進につながり、寿命にも一役かっていると疫学的研究で認められているそうです。ヨーロッパでは「ワインがあれば医者いらず」という言葉もあるくらいです。
赤ワインに多く含まれているポリフェノールは抗酸化作用、抗炎症作用、血管拡張などの効果が期待できるとか。また、白ワインは赤ワインに比べてポリフェノールは少ないものの、有機酸による抗菌作用や消化促進効果が期待できるそうです。ワインの持つ香りや味わいも、リラックス効果を高めることでしょう。
とはいえ、「過ぎたるは及ばざるが如し」ですから、飲みすぎは厳禁。節度を守り、適量のワインをいただくことはメリットが多いといえるのではないでしょうか。

参考)
・宝酒造webサイト「 お酒を楽しむためのヒント!:酒は百薬の長!?」
https://www.takarashuzo.co.jp/saynoweb/hint/effect.html
・MEDICALDOC「ワインは健康にいい」と聞くけど実際どうなの? どのような健康効果があるか管理栄養士が解説
https://medicaldoc.jp/m/column-m/202307o0356/
■実践!夏バテ解消ワインペアリング
それでは、夏野菜を使ったこの時期らしいお料理とワインのペアリング事例を一挙ご紹介いたしましょう。
白身魚のカルパッチョ パイナップルソースミント風味 枝豆添え

まず、一品目は人気のカルパッチョのソースアレンジです。真鯛や平目などのお刺身用のサクを薄くそぎ切りにし(カットされたお刺身でも〇)軽く塩をして10分程度、冷蔵庫で休ませます。みじん切りにしたパイナップル、パプリカをセパレートタイプのフレンチドレッシングで和え、お皿に盛った白身魚に回しかけます。仕上げにミントの葉と枝豆をトッピングします。
こちらのお料理のキー食材はパイナップルと枝豆。パイナップルはビタミンCや食物繊維が豊富です。また、ブロメラインというタンパク質分解酵素が含まれており、消化を助ける働きがあるそうです。さらに、夏らしくミント風味にすることで清涼感を与え、爽やかに食べ進めることができます。トッピングした枝豆には、ビタミンB1、食物繊維、カリウム、たんぱく質、サポニン、メチオニン、オルニチン、植物ステロールなどの栄養素が豊富で夏バテ解消の優良選手です。夏に枝豆を食べるのは理にかなっているということなんですね。

さて、こちらのお料理には、「オーガニック ソーヴィニヨンブラン」はいかがでしょうか。オーガニックシリーズは、有機認証の世界基準ともいわれるエコサート認定の有機栽培葡萄を使用しています。ライムやグレープフルーツなどの柑橘系果実の爽やかな香りが特長のオーガニック ソーヴィニヨンブランは、低温でスキンコンタクト後、ステンレスタンクで発酵しています。爽やかな酸を活かすために樽熟成はしていません。
白い花や白桃のニュアンスとキリッとした酸味が感じられ、瑞々しい果実の凝縮された味わいと豊かなミネラル感がより食欲を増進させてくれるでしょう。

ズッキーニのハッセルバック オン レモンタルタル

オーガニック ソーヴィニヨンブランには、こちらのお料理もおすすめです。旬のズッキーニに切り込みを入れ、間にベーコンをはさみ、塩コショウをし、付け合わせのプチトマトと一緒にオーブンへ。タルタルソースにレモン汁とレモンピールを細かく刻んだものを混ぜて、概ね火が通ったズッキーニにのせてオーブンでさらに10分。タルタルソースに少し焦げ目がついたら出来上がりです。
レモンの爽やかな酸味の効いたタルタルソースがオーガニック ソーヴィニヨンブランの持つ柑橘系の香りとリンクし、夏らしいグリル料理がより美味しく召し上がれます。
こちらのお料理のキー食材は、もちろんズッキーニ。ズッキーニは、ビタミンC、カリウム、βカロテン、食物繊維などを豊富に含む夏野菜です。単調になりがちな味わいもベーコンやレモンタルタルで味に幅と変化をつけると、ちょっとしたディナーメニューにもなります。
スイカとトマトのグラニテ
お口直しにスイカとトマトのグラニテはいかがでしょうか。スイカは種を取り、トマトは皮を湯剥きして、ミキサーにかけます。粗めのジュース状態になったら、レモン汁、はちみつを加えて冷凍庫で冷やし固めます。固まったら麺棒などで氷状のジュースを数回叩き、再び冷凍庫へ。それを2~3回繰り返し、パラパラになったグラニテを器に盛り、ハーブを飾れば出来上がりです。

こちらのキー食材は、もうおわかりですね。スイカとトマトです。食べ残ったスイカなどはこうしてグラニテにしておけばいつでも美味しく楽しむことができます。スイカの甘みとトマトの清涼感と旨味がとっても美味。スイーツとお料理の間のような一品ですが、お食事の合間やデザートとして召し上がってもよいでしょう。
スイカにはカリウムやシトルリン、リコピン、β-カロテンなどの栄養素が豊富に含まれ、水分補給、疲労回復、むくみ改善、美肌効果が期待できるそうです。トマトにもリコピンやビタミンCが豊富な食材ですので夏の最強コンビですね。冷たい口当たりも、スルスルと体に入っていきます。

こちらには、タンニンがマイルドな「ビシクレタ レッド ブレンド」がおすすめです。カリニャン、プティ・ヴェルド、カベルネ・フランなどをブレンドし、ジューシーで飲み応えがありつつ、さらりと飲める軽さのある夏向きの赤ワインです。グラニテのトマトの旨味や清涼感がワインと同調し、グラニテをおつまみにワインを楽しむことができます。こちらペアリングはワインを10℃程度に冷やしてお楽しみください。
砂肝のコンフィ

お次は、お肉料理です。コンフィとは60℃くらいの低温の油でゆっくり煮たお料理です。一口大に切った砂肝に塩コショウ、ローズマリーやタイムなどのハーブを加え、一晩おきます。時間が無いときは3時間程度でもOK。スライスしたニンニクとお好みで鷹の爪を1本いれ、砂肝がヒタヒタになるくらいのオリーブオイルを入れて、弱火で30分煮ます。途中、油がグツグツいってきたら少しの間、火を止めても構いません。30分ほど煮て全体に火が通れば出来上がりです。低温のオイルで煮ていますので柔らかく、砂肝の旨味とにんにくの風味が相まって、もうワインなしではいられないといった感じです。
では、そのペアリングワインはというと、「ビシクレタ レゼルバ メルロー」はいかがでしょうか。

なめらかなタンニンと果実味溢れる味わいと心地よい余韻が砂肝のコンフィと相性抜群。砂肝は低カロリーで高タンパクでありながら鉄分や亜鉛、ビタミンB群が豊富ですから、ここぞというときに食べて欲しいお料理です。また、ビシクレタ レゼルバ メルローは手摘みで収穫されたブドウを6か月熟成させているため、コーヒーやチョコレートのニュアンスがあり、洗練された余韻が楽しめるワインです。
フルボディながらも重すぎることはなく、砂肝などのホルモン系のお料理も難なく受け止めます。夏以外でもオールシーズン楽しめるペアリングです。
サバ缶のリエット
最後は、手軽な缶詰を使った一品です。サバ缶とブルーチーズを3:1の割合で混ぜ、そこにすりおろしたショウガ、赤ワインを大さじ1杯、コショウと隠し味でラー油を数滴加えて混ぜます。
フードプロセッサーがあれば材料をすべて入れ、回すだけです。仕上げにパプリカパウダーをふりかけ、薄くスライスしたバゲットやクラッカーを添えて出来上がり。

「サバ缶とワイン?」と思うかもしれませんが、これが意外と合うんです。赤ワインを少し加えていることも功を奏しているかもしれませんね。青魚の代表ともいうべきサバですが、DHAやEPAなどのオメガ3脂肪酸が豊富で生活習慣病予防や認知症予防、美肌効果があるそうです。また、タンパク質、ビタミン、ミネラルも豊富で、貧血予防や骨を強くする効果も期待できるとか。
こちらのお料理には、「オーガニック ピノ・ノワール」で決まりでしょう。ピノ・ノワール100%のこのワインはイチゴやチェリージャムの果実香、なめし皮、微かに腐葉土やキノコなどの香りが特長的で、フレッシュなプラムのような果実味やきれいな酸味と程よいタンニンが楽しめます。夏も終盤にさしかかり少しずつ秋の気配を感じる一夜に、しっぽり楽しみたいペアリングです。

さて、いかがでしたでしょうか。医食同源という言葉がありますが、日頃の食事とワインのペアリングで夏の疲れを癒し、爽やかに次の季節を迎えたいですね。
この記事で紹介したワインはこちら
オーガニック ソーヴィニヨン・ブラン

オーガニック ソーヴィニヨン・ブラン
エコサート認定の有機栽培葡萄を使用。オーク樽で6ヶ月、ステンレスタンクで2ヶ月熟成。チェリー、ラズベリー、イチゴなどの果実香、ヴァニラのニュアンス。滑らかで豊かなタンニンがあり、土壌に由来するミネラルの滋味が感じられる。
ビシクレタ レッド ブレンド

ビシクレタ レッド ブレンド
地中海品種のブドウをブレンドしたこのワインは、バランスとスムーズな飲み心地を重視し、飲みやすく、まとまりのある味わいに仕上がっています。
ビシクレタ レゼルバ メルロー

ビシクレタ レゼルバ メルロー
鮮烈なラズベリーにコーヒーやチョコレートのニュアンスが複雑性を与える。滑らかで豊かなタンニンと、生き生きとした果実味が特長。洗練された余韻が楽しめる。
ビシクレタ レゼルバ ピノ・ノワール

ビシクレタ レゼルバ ピノ・ノワール
鮮烈なチェリー、プラム、イチゴの香りに、なめし皮やタバコのニュアンスが複雑性を与える。中庸な酸味とタンニンのバランスが良く、複雑で豊かな味わいのワイン。僅かにスパイシーな後味が楽しめる。
この記事を書いた人

ソムリエ
たけうち あけみ
竹内 綾恵美
- (一社)日本ソムリエ協会認定 ワインエキスパート
- SAKURAアワード2024 審査員
料理が大好きで、国内外問わず、旅先では必ず市場を訪れる。ワインに出会い、味わいはもちろんのことワイン文化の奥深さに魅了される。
2019年にワインエキスパート取得し、ワインと食の追求に邁進する日々。