2025.11.06
- 楽しみ方
シャルドネのある暮らし
このところ一気に寒さがやってきて、慌ててコートを引っ張り出したという方も多いのでは。
そして、ワインも常温に近いくらいの温度帯で楽しめる気候になってきました。
こうなると温かく、コクのあるお料理が美味しい季節です。
これからの時期、仲良くなっておくと便利なワインがあります。
それは、「シャルドネ」です。
適応能力の高さと醸造方法による多様な味わいに変容するシャルドネは「白ワインの女王」とも呼ばれています。
そんなシャルドネのワインを理解するポイントをお伝えしつつ、コノスルのラインナップから異なる2つのシャルドネのワインを比較し、ワインを気軽に楽しめるヒントをご紹介します。
■変幻自在なシャルドネ
シャルドネについてはこれまで何度も取り上げてきましたが、まずは、シャルドネというブドウについて簡単におさらいしましょう。
シャルドネはフランスのブルゴーニュ地方が発祥とされ、世界各地で広く栽培されています。
冷涼な地域では、エレガントでキリッとした酸味が際立ち、レモン、青リンゴ、洋ナシ、白い花、火打石のようなミネラル香が特徴です。
一方、温暖な気候では、豊かな果実味とまろやかな口当たりに、パイナップル、マンゴー、パッションフルーツなどのトロピカルフルーツの香りがする傾向があります。
ゆえに、テロワール※を最もよく表現するブドウ品種と考えられています。
※テロワールとは、農産物が育つ土地の気候、土壌、地形などの自然環境と、そこから生まれる特有の個性を意味する。加えて、その土地に根ざした生産者の技術や文化を含む場合もある。
また、シャルドネはニュートラル品種にカテゴライズされており、香りは比較的穏やかで、ブドウそのものに強い個性がある品種ではありません。
それゆえ、醸造方法などによって様々なスタイルのワインが造れるため、その変容ぶりがシャルドネの魅力とも言えます。
このように、栽培される地域の気候や土壌、さらに醸造方法などによって多様な味わいに変化することから「あなた色に染まるシャルドネ」というキャッチコピーを付けられることも。そんな変幻自在なシャルドネで造られるワインを知るための鍵の一つとして「樽発酵・樽熟成」があります。
■「樽なし」派?それとも、「樽あり」派?
ワイン醸造において、白ワイン、赤ワインともに樽がワインに与える影響は非常に大きいといえます。
樽の使用はワインを適度に酸化熟成させ、酸味や渋みをまろやかにしワインの風味を良くしたり、樽の持つ香りとワインが溶け合い、バニラやナッツ、トーストのような香りが加わるなどの効果があります。
香りや味わいに複雑さが増し、よりリッチで味わい深いワインとなることがあります。
一概に「樽発酵」や「樽熟成」といっても、そこには様々な選択があります。
使用する樽の種類、例えば新しい樽か数年利用した古い樽か、樽の木の種類は何にするか、さらにはフランス産の樽なのかアメリカ産なのか、樽のロースト具合はどうか・・・etc.
それぞれの樽の特性からワインに与える影響を想定し、目指すワインのスタイルに合わせて醸造家たちは樽を選びます。
加えて、樽には何カ月熟成させるのか、その期間なども変わってきます。
樽以外にワイン醸造に使用される容器で最もポピュラーなのが「ステンレスタンク」です。ステンレスタンクは樽を使用したワインと比較すると、味わいや香りはすっきりとしており、ブドウ本来の持つ香りを生かしたワインが出来上がります。
フレッシュで軽やかなワインを望むなら、ステンレスタンクでの醸造が良いでしょう。
もちろん、樽を使用したリッチなシャルドネのワインがあれば、キレのある酸とすっきりとした味わいのフレッシュなシャルドネのワインもどちらもあります。
ワインを飲み慣れている方ならば、テイスティングで「これは樽を使用したワインだな」とすぐわかるでしょう。
しかし、ワインビギナーにとっては飲み比べてみないと、この違いはわかりにくいかもしれません。
シャルドネを制する者は樽を制するといっても過言ではありません。
そこで、ぜひとも、シャルドネの魅力を存分に楽しむ上でも、ぜひ樽を使用したワインと使用していないワインの飲み比べをしてみていただきたいのです。
コノスルでは、ビシクレタ レゼルバ シリーズから樽なしのシャルドネがリリースされています。
エチケット(ラベル)にも「UNOAKED CHARDONNAY」と記載してありますので、樽を使用していないことが一目でわかります。
<コノスル ビシクレタ レゼルバ アンオークド シャルドネ>
こちらのワインはシャルドネ100%で造られたワインで、フレッシュなパイナップルのトロピカルな香りと、微かなハーブやオレンジなど白い花のニュアンスが特長的です。柔らかな酸味とトロピカルフルーツを思わせる果実味豊かなワインです。
製法はステンレスタンクで4ヶ月熟成しています。「アンオークドシャルドネ」の飲み頃の温度帯は6~10℃です。
比較的、冷やして飲んだ方がこのすっきりとした味わいが楽しめるワインです。
グラスは小ぶりの白ワイングラスがおすすめです。
一方、樽を使用したワインとして「コノスル グリーンソサエティ シャルドネ」と比較してみましょう。
<コノスル グリーンソサエティ シャルドネ>
「コノスル グリーンソサエティ シャルドネ」は同じくシャルドネ100%で造られたワインですが、ステンレスタンクで醸造したワインにフレンチオーク樽で28日間熟成させたワインを10%ほど加えています。
これにより、ブドウ由来からのレモンやグレープフルーツといった爽やかな柑橘系の香りに、オレンジの花やパイナップルなどの南国系フルーツのニュアンスが加わっています。
また、土壌由来のミネラル感もあり、爽やかでみずみずしさもありながら、ややボリューム感があります。
できれば、こちらのワインは、10℃~1 2℃くらいで楽しむのが良いでしょう。
グラスはやや大ぶりの白ワイングラスを用意してみてください。
樽を使用したワインといっても、どの程度の熟成期間なのか、またブレンド比率などによってもワインの味わいは変わります。
ゆえに、シャルドネといっても、実に様々なワインが造られるのです。
■シャルドネのある暮らし
さあ、シャルドネの奥深さに気づき始めたみなさんにとって、この違いをより楽しむ方法としては、やはりお料理とのペアリングが挙げられます。
「樽あり」「樽なし」などの違いがお料理との相性においてどう変わるのか気になるところですよね。
まず、大きな方向性として、「樽なし」のシャルドネは、さっぱりとライトな味わいのお料理との相性が抜群です。
素材であれば野菜や魚、フルーツを使ったお料理で、調理法では火をあまり通していないものや、料理そのものの味わいは淡泊で、調味料をつけて食べるようなものです。
洋食であればカルパッチョやマリネ、グリーンサラダなどが良いでしょう。
和食との相性も◎です。また、シャルドネは、旨味のある食材との相性も良いので、天ぷらなども非常に好相性です。
天ぷらは野菜や魚介が具材の中心であり、シャルドネの爽やかな酸味が天ぷらの油分を上手にリフレッシュしてくれます。
特に、塩で食べる場合は、断然アンオークドシャルドネをおすすめします。
私のお気に入りは、カボスやレモンを軽く絞ったエビの天ぷらと「ビシクレタ レゼルバ アンオークドシャルドネ」のペアリングです。
フレッシュな柑橘の香りと酸味がワインとリンクし、豊かな果実味が魚介のもつ旨味と程よく調和します。
魚介系の天ぷらの他、お野菜の天ぷらとも好相性でした。
では、樽熟成したシャルドネワインをブレンドした「樽あり」の「グリーンソサエティ シャルドネ」はいかがでしょうか。
こちらは、チーズやホワイトソースを使った少しコクのあるお料理がより向いています。「グリーンソサエティ シャルドネ」は樽熟成したワインの比率は少量ではありますが、それでもペアリングするとその相性の差は歴然。
じっくり火を通したお料理や焦げ目を楽しむようなお料理なら「樽あり」が向いているでしょう。
もしサラダなど生野菜とあわせる場合は、ナッツやよく炒めたベーコンなどをトッピングするなど、樽のニュアンスと近い要素をもつ食材を合わせると美味しさが倍増します。
さらに、この樽を使用した比率が多いタイプのシャルドネのワインや熟成期間が長いものであれば、よりこうした傾向が強くなってきます。
コノスルでは、今回ご紹介した2つのワイン以外にも、「20バレルリミテッド」、「シングルヴィンヤード」、「オーガニック シャルドネ」など、ほとんどのシリーズでシャルドネのワインがあります。
この秋、ぜひ多彩なシャルドネでみなさんのワインライフをより充実したものにしませんか。
この記事で紹介したワインはこちら
ビシクレタ レゼルバ シャルドネ

ビシクレタ レゼルバ シャルドネ
フレッシュなパイナップルのトロピカルな香りと、微かなハーブやオレンジなど白い花のニュアンスが特長的。柔らかな酸味とトロピカルフルーツを思わせる果実味豊かなワイン。
グリーンソサエティ シャルドネ

グリーンソサエティ シャルドネ
柑橘系果実の香りにオレンジの花やパイナップルのニュアンスがある、心地よい酸が感じられるワインです。
この記事を書いた人

ソムリエ
たけうち あけみ
竹内 綾恵美
- (一社)日本ソムリエ協会認定 ワインエキスパート
- SAKURAアワード2024 審査員
料理が大好きで、国内外問わず、旅先では必ず市場を訪れる。ワインに出会い、味わいはもちろんのことワイン文化の奥深さに魅了される。
2019年にワインエキスパート取得し、ワインと食の追求に邁進する日々。





