2026.02.06

  • コノスルのある暮らし

【コノスルのある暮らし】娘と私のバレンタイン。~オーガニック カベルネ・ソーヴィニヨン カルメネール シラー~

「ママ、ちょっと来て!話したいの、早く来て!」
声のする方を見ると、娘がリビングのドアから顔をのぞかせていた。
緊急の用事があるようだ。
何事かと駆け寄ると、「ママ、私って料理上手?」と鼻を膨らませている。
今朝、娘が作ってくれた焼きおにぎりのことを言っているようだ。
炊き立てのご飯でふんわりとにぎられ、薄く味噌を塗ってこんがりと焼いたそのおにぎりは、確かに美味しかった。私が作る、ぎゅっと詰まったおにぎりとは違って、空気を含んだような優しさとこんがりとした味噌の焼き目が絶妙だった。
「料理上手!ママはこんなに美味しいおにぎり作れないよ」
と驚いた私を見て、よほど嬉しかったのだろう。
嬉しかったことを何度も確かめようとする彼女特有の癖は、幼い頃からだ。
そんな娘に10秒でも向き合ってしっかりと褒めてあげればいいものを。
そんな時に限って私が最も忙しい時だったりするものだ。
「うんうん」などと適当に流してその場を離れてしまった。

どういうわけか、私と娘は、どこか何かがズレることが多い。
私が話そうとする時に限って娘も何かを伝えようと口をパクパクさせている。
また、私が“これはいい!”と思うものは、娘にとってはそんなに良いものではないこともよくある。
喜ぶに違いないと意気揚々と買って帰った洋服たちが、全く喜ばれず袖も通されないままサイズアウトしたことは一度や二度ではない。
昨夜は私のお気に入りのハンドクリームを娘の手にも塗ってあげたところ、「ごめんね」と言いながらすぐに洗い流していた。香りなのか感触なのか、何かしら耐え難いものがあったのだろう。
“しまった、またやってしまった”と唖然としたが、さほど驚かなかった。怒りや落胆も無い。
この率直さと独特な感受性を持つのが、私の娘だ。
この小さな宇宙人には私はもう充分慣れているのだ。

そして、そのどこかズレている私にいつも手紙や工作で愛情を伝えてくれるのもこの娘だ。
折り紙やティッシュ、紙粘土、シール、綿、毛糸の切れ端など、どこからともなく集めてきたあらゆるものを、大胆かつ巧みに使いこなし、日々独自の作品を生み出している。
「これママにあげる!」と差し出すときのキラキラした眼差しには、“いい物をあげたのだ、さぞかし喜んでくれるに違いない”という期待が漲っている。私を喜ばせようとしてくれていることはよく分かる。だが私は、“増え続けるこの作品達を一体どこに飾ればいいのだろうか…?”という疑問がよぎり、ぎこちない笑顔を浮かべてしまう。
娘からすれば「ママは何も分かってないんだから…」という具合かもしれない。

こんな調子の母娘ではあるものの、娘が大人になったら一緒にワインを飲みたいなぁと密かに憧れを抱いている。
だがこれまでの経験上、私が“これぞ”と思うものを娘が喜んでくれるかどうかは怪しい。
“美味しいワインを差し出したところ、娘にサラッと逃げられる”というサイドストーリーも併せて頭の片隅に入れておかなければなるまい。

娘とワインを飲めるようになるまではまだ長い時間があるが、もうすぐバレンタイン。
腕試しに娘が喜びそうなスイーツで喜ばせてみよう。

ちょうど娘の大好きな苺の季節だ。苺を乗せたティラミス風スイーツはどうだろう。
マスカルポーネチーズをたっぷり使って、温かい部屋で赤ワインを片手に楽しみたい。



コノスル カベルネ・ソーヴィニヨン カルメネール シラー オーガニック。
苺やラズベリー、クローブの甘い香りと程よい酸、ヴァニラやカカオのニュアンス、まろやかで心地よいタンニン、ほんのり体を温めてくれるアルコール感。
この愛らしく朗らかなワインに合う、そして娘が喜びそうな苺のティラミスを作ってみたくなった。
スーパーで調達したブラウニーに、生クリームと共にゆるくホイップしたマスカルポーネを乗せて、ココアパウダーと苺を飾る。大人用にはクローブパウダーをほんの少し効かせて。

“ワインを飲むご機嫌な母を見ていれば、自分もいつか同じものを飲んでみたいと思うのではないだろうか?”
“いやいや、気をつけろ、また空振りになるぞ。物事は思い通りにはいかないんだ。特にあの宇宙人は。”
頭のどこかでそんな反芻をしながらも、「わぁ!」と目をキラキラさせて喜ぶ顔が今度こそ見られるのではないかと、期待とエネルギーが静かに湧き出てくる。

何度空振りをしてもいい。
この小さな宇宙人がどんな大人になるのか、楽しみで仕方ない。
今夜もコノスルを飲みながら、その時をゆっくり待とう。


この記事で紹介したワインはこちら

オーガニック カベルネ・ソーヴィニヨン カルメネール シラー
オーガニック カベルネ・ソーヴィニヨン カルメネール シラー

オーガニック カベルネ・ソーヴィニヨン カルメネール シラー
チェリー、ラズベリー、イチゴなどの果実香、ヴァニラのニュアンス。滑らかで豊かなタンニンがあり、土壌に由来するミネラルの滋味が感じられる。

この記事を書いた人

河田 安津子

ソムリエ

かわだ あつこ

河田 安津子

  • 日本ソムリエ協会認定 ワインエキスパート
  • チーズプロフェッショナル協会認定 チーズプロフェッショナル
  • 「人生を豊かに愉しむためのワイン学」講師
  • レコール・デュ・ヴァン チーズ講師
  • フードコーディネーター

ワイン講師、チーズ講師として活動。
ワインとチーズ、その背景にある物語を大切にしながら、 日々の暮らしに寄り添う「人生を味わう時間」を提案している。