2024.07.01

  • 楽しみ方

テラスで夏ワイン!


早くも30℃を超える夏日がやって来ていますが、ここ数年続く猛暑は今年も避けられないようです。しかし、暑い夏には夏のワインの楽しみ方がありますよね。冷えたワインを一口飲めば、スーッと火照った身体が落ち着き、ワインの持つ酸味が程よく、いつも以上にワインが美味しいと感じる経験は1度や2度はあるのでは?また、アウトドアやテラスなど屋外でのワインが楽しいのもこの季節ならでは。夏野菜などのカラフルなお料理とワイン、そしてテラスといったロケーションだけでもテンションが上がりますよね。今回は、そんなこの時期ならではのワインの楽しみ方をご紹介いたします。

■夏向きのワインとは

食材に旬があるようにワインにもやはり夏向きのワインというものがあります。主に次のような特長を持つワインです。

①低い温度で飲んだ方が美味しいワイン
(スパークリングワイン、爽やかなタイプの白ワイン、ロゼワインなど)
②爽快感があるワイン
(スパークリングワイン、酸味が高いワイン、軽めのワイン)
③香りがあるワイン
(アロマティック系品種のワイン)

理由として次のことがあります。①は、気温が高い夏はとにかく冷たいものが好ましくなります。そうすると、ワインも冷えていた方が断然美味しく感じるものです。ワインには適切なサービス温度、適温というものがあります。中にはあまり冷やしすぎない方が良いワインがあり、その代表的なものが赤ワインです。これは一般論ですが、赤ワインには渋味成分であるタンニンを多く含むため、温度が低い状態だと苦く感じてしまう場合があります。また、グラスに注いだ瞬間にワインの温度は上昇していきますが、夏はこの変化がかなりスピードアップしますので、空気に含ませて楽しむワインよりはサーブされたら速やかにいただくタイプの方がよいでしょう。またワインクーラーなどを用いて冷えた状態をキープすることも可能ですが、赤ワインにとってはこれだと冷え過ぎてしまうことがあります。よって、適温が低いスパークリングワイン、爽やかなタイプの白ワイン、ロゼワインなどがオススメです。



次に、②の「爽快感があるワイン」は、これも夏という気温や湿気の多い日本の気候を考えるとさっぱりした味わいを夏は好む傾向にあります。食べるものがサッパリとしたものであるのにワインがコッテリしているようではバランスが取れません。酸味のある料理には酸味の高いワインが合いますし、スパークリングワインはアルコール度数がスティルワインよりも低い傾向にあるので、軽めのお料理に合います。そして、発泡性のワインならではのシュワっとした爽快感と喉ごしは、夏向きのワインといえるでしょう。



さらに③の「香りがあるワイン」ですが、これは少し語弊があるかもしれません。どのようなワインにも香りがあるのですが、冷えた状態だとワインの香りというのは取りにくい場合があります。ところが、リースリングやソーヴィニヨン・ブラン、ゲヴュルツトラミネール、ヴィオニエなどのアロマティック系品種は冷えていても香りが取りやすく、この香りが気分を変えてくれます。ですから、夏はワインの香りが華やかなワインの方が楽しめる季節だといえます。



■ロケーションにこだわり、料理は手軽に

ただでさえ暑い季節に火を使うお料理は大変ですよね。お料理は手軽に作れるもので、ワインはしっかり冷やして、あとはちょっとだけロケーションにこだわれば、夏のワインライフが各段に楽しくなります。ロケーションのことは後で詳しく述べますが、まずは夏らしいお料理とワインのペアリングをご紹介します。

<ピンクグレープフルーツと鮮魚のカルパッチョ×ビシクレタ・レゼルバ ピノ・ノワール ロゼ>



夏に食べたい前菜ナンバーワンといえば、「鮮魚のカルパッチョ」ではないでしょうか。鮮魚に爽やかなグレープフルーツを添えて、ディルなどのハーブの香りでいただきます。見た目も華やかで清涼感があり、これに冷えたワインは格別です。そして、作り方はとても簡単。刺身用のサーモンと真鯛などの白身魚に軽く塩をし、グレープフルーツと鮮魚をバランスよく器に盛り付け、セパレートタイプのフレンチドレッシング、ペッパー、オリーブオイルをまわしかければ出来上がりです。お好みでディルやタイムなどのハーブ、レモンピールなどを添えると一層爽やかな一皿になります。

こちらのお料理に合わせるワインは、ビシクレタ・レゼルバ ピノ・ノワール ロゼです。
ピノ・ノワール100%で造られており、フレッシュでエレガント。チェリーなどの赤い果実の香りや風味があり、ジューシーで柔らかな口当たりのワインです。はっきりとしたアロマがあり、適温は6 ~10 ℃と低めです。サーモンや生ハムとの相性が良く、適度なボリューム感もありますので、赤ワイン好きの方にも好評です。外観は少し青みがかったピンクで、美しい色合いも気分をアップさせてくれます。


<枝豆のペペロンチーノ風×スパークリング・ブリュット>

枝豆にはビールという概念を変えて、枝豆のペペロンチーノ風とスパークリングワインの組み合わせはいかがでしょうか。茹でた枝豆に殻つきのままガーリックオイル、ブラックベッパーと塩を絡めます。スパークリング・ブリュットはシャルドネ95%、ピノ・ノワール5%で造られており、イチジクやオレンジの花、レモンなどのフレッシュな果実香が印象的で、ミネラルのニュアンスやハチミツ、酵母などの香りが複雑さを添えています。適温は4 ~ 6 ℃とさらに低く、キンキンに冷えたスパークリングワインは暑い夏にピッタリ。さらにニンニクの風味が効いた枝豆のペペロンチーノは食欲をそそり、ついつい手が出るペアリングです。



<ミックスパエリア×ビシクレタ・レゼルバ ソーヴィニヨン・ブラン>

気の置けない友人たちとの語らいには、見ためも豪華でお腹も満足なミックスパエリアがおススメです。取っ手が取り外し可能なタイプでやや深めのフライパンを使えば、テーブルにそのままサーブでき、楽チンです。作り方は玉葱とニンニク、お米(洗わなくてOK)、塩コショウした鶏もも肉をオリーブオイルでいため、お米が透き通ってきたら、ミックスパエリアのシーズニングを水で溶いたものを加えます。あとはトマトやブラックオリーブ、あさりやエビなどの具材を乗せて、蓋をして水分がなくなるまで中火で炊きます。おおむね30分もあれば完成します。



こちらには、ビシクレタ・レゼルバ ソーヴィニヨン・ブランを合わせてみました。ソーヴィニヨン・ブラン100 %で造られており、外観は緑色がかった淡い黄色。柑橘系の爽やかな香りやアプリコット、リンゴのキャンディのような香りがあり、かすかなハーブや緑の芝の香りが爽快さを与えています。適温は6 ~10 ℃とやはり低めですので、ワインクーラーに入れておけば外気に触れても飲み頃の温度帯がキープできます。

<ローストポークのサンドウィッチ×スパークリング・ロゼ>

最後は、気軽なランチタイムをイメージしたローストポークのサンドウィッチとスパークリングワイン・ロゼのペアリングです。夏バテしないようボリューム感のあるローストボークのサンドイッチはデリバリーやテイクアウトしたものでOK。そこへ、冷えたスパークリング・ロゼさえあれば、リッチな気分になれます。



こちらのワインは、ピノ・ノワール100%で造られており、イチゴやブルーベリーのような優しい果実味と豊かな酸味が特長的で、心地良いくらいのかすかな渋みがボディにふくよかさを与えています。余韻には柔らかな果実の甘みを感じられるワインなので、照り焼きなどの少し甘みのある味付けの料理との相性が良いです。こちらも適温はスパークリング・ブリュットと同じく4 ~ 6 ℃です。

■おウチで楽しむ夏ワイン、バルコニー活用術

そして、こだわりたいロケーションについてですが、屋外ということです。ただし、キャンプ場などの完全屋外というよりは、屋外と屋内の臨界点、つまりテラスやバルコニーの活用です。キッチンにすぐに物が取りに行けるとか、急な雨や風でも部屋に逃げ込める利便性がありながらも、外の空気を吸うことが出来るテラスやバルコニーは開放感があります。マンションのベランダやバルコニーなどでも工夫次第でカフェのテラス席のような雰囲気が味わえます。



折りたたみ式のテーブルやイスであれば、邪魔にもなりません。さらに、最近はバルコニーの手すりにテーブルをひっかけるタイプの「バルコニーテーブル」なるものもあり、手狭なスペースも有効活用できます。
 こうしたバルコニー活用術を紹介している団体があります。一般社団法人日本バルコニスト協会です。こちらの代表をされている山本 牧子さんも大のワイン好きのようです。サイトやInstagramにはお気に入りのバルコニーでワインを楽しむ投稿がたびたびアップされています。たくさんのヒントがありますのでぜひ、こちらのサイトも覗いてみてください。(一般社団法人日本バルコニスト協会 https://balconist.jp/

さて、いかがでしたでしょうか。コノスルの夏向きワインとお手軽料理、そしてテラスやバルコニーの活用で、この夏も楽しいワインライフをお送りください。



この記事で紹介したワインはこちら

ビシクレタ・レゼルバ ピノ・ノワール ロゼ
ビシクレタ・レゼルバ ピノ・ノワール ロゼ

ビシクレタ・レゼルバ ピノ・ノワール ロゼ
フレッシュでエレガント、チェリーを思わせる赤い果実の香り。ジューシーで柔らかな口当たり。赤い果実の風味豊かで爽やかな味わい。

スパークリング・ブリュット
スパークリング・ブリュット

スパークリング・ブリュット
チリ南部、ビオビオ・ヴァレーの冷涼な気候と赤粘土質土壌に育まれた葡萄を厳選。製法はシャルマ方式。テロワール由来のフレッシュでミネラルに溢れた味わいと、二次発酵によって生まれる酵母やハチミツなどのニュアンスを楽しむことが出来る。

ビシクレタ・レゼルバ ソーヴィニヨン・ブラン
ビシクレタ・レゼルバ ソーヴィニヨン・ブラン

ビシクレタ・レゼルバ ソーヴィニヨン・ブラン
柑橘系の爽やかな香りやスグリ、アプリコット、リンゴのキャンディの香りがあり、微かなハーブや緑の芝の香りが印象的。品種の個性がはっきりと現れた爽快でクリアーなタイプ。骨格がしっかりとしていて和食との相性が良い。

スパークリング・ロゼ
スパークリング・ロゼ

スパークリング・ロゼ
チリ南部、冷涼なビオビオ・ヴァレー産の葡萄を厳選して使用。シャルマ方式。イチゴやブルーベリーのような優しい果実味と豊かな酸味が感じられ、微かに感じられる心地よい渋みがボディにふくよかさを与えている。余韻にも柔らかな果実の甘みが残る。

この記事を書いた人

竹内 綾恵美

ソムリエ

たけうち あけみ

竹内 綾恵美

  • (一社)日本ソムリエ協会認定 ワインエキスパート
  • SAKURAアワード2024 審査員

料理が大好きで、国内外問わず、旅先では必ず市場を訪れる。ワインに出会い、味わいはもちろんのことワイン文化の奥深さに魅了される。
2019年にワインエキスパート取得し、ワインと食の追求に邁進する日々。