2022.01.27

  • 楽しみ方

ベストマッチはどれ? ビター、ミルク、ナッツ入り・・・6種のチョコレートと4種のワインの相性を探る

この時期になると、街中が甘い香りに包まれるような気分になりませんか。有名パティシエが監修したオリジナルのチョコレートや人気ショコラティエのバレンタインシリーズなど、かわいくて美味しそうなチョコレートが店頭にたくさん並びます。パッケージも凝っているものが多く、見ているだけでも楽しくなりますよね。今回はバレンタインにちなみ、様々なタイプのチョコレートとコノスルワインの相性を検証してみました。

1. そもそもチョコレートとワインって合うの?

甘さも香りも個性豊かなチョコレートは、カカオの種子を発酵・焙煎したカカオマスを主原料とし、これに砂糖、ココアバター、粉乳などを混ぜて練り固めたものです。さらに、ナッツやフルーツなどを混ぜたものやブランデーやラム酒などを使ったチョコレートもありますね。

様々なタイプのチョコレートがありますが、基本的には、チョコレートとワインは合います。理由の1つとして、苦味や渋味の成分であるポリフェノールがワイン(特に赤やロゼ)にもチョコレートにも含まれているため、ペアリングの基本である「同調のペアリング」が成立するからです。では、ポリフェノールが少ない白ワインはどうでしょうか?

それではチョコレートのタイプ別に主なワインとのペアリングを検証してみましょう。

2. チョコレートとワインとの相性をタイプ別に徹底検証

チョコレートにはビター、ミルク、ホワイトなどがありますが今回はスタンダードな3種に加え、ナッツが入ったもの、オレンジなどのフルーツを加えたもの、ラムレーズンなどほかの洋酒のテイストも含んだチョコレートの6種を用意しました。

ワインは、コノスルの中でもバリエーションに富んだビシクレタ・レゼルバ シリーズから赤2本、白2本のトータル4本をそれぞれ合わせてみました。

<ビシクレタ・レゼルバ カベルネ・ソーヴィニヨン>

カベルネ・ソーヴィニョンを主体にメルロー、カルメネール、シラー、マルベックなどがブレンドされ、エレガントでしっかりとした骨格を持つ、果実味豊かで深い味わいの赤ワイン。カシスやプラムなどの黒系果実の香りに、ミントやコショウなどスパイスの香りが複雑性を持たせています。

<ビシクレタ・レゼルバ ピノ・ノワール>

ピノ・ノワール100%でやわらかな酸とタンニンのバランスが良く、複雑で豊かな味わいの赤ワイン。ピノ・ノワールらしい、チェリーやイチゴなどの赤系果実の香りに、なめし皮やタバコのニュアンス、僅かに感じるスパイシーな余韻が面白いです。

<ビシクレタ・レゼルバ シャルドネ>

シャルドネ100%で樽熟成なしのタイプ。フレッシュなパイナップルのトロピカルな香りと、微かなハーブやオレンジなど白い花のニュアンスが特長的。柔らかな酸味とトロピカルフルーツを思わせる果実味豊かな白ワインです。

<ビシクレタ・レゼルバ ゲヴュルツトラミネール>

ゲヴュルツトラミネール100%で、グラスに注いだ時の艶めく姿が美しく、ライチやマスカット、メロン、バラの花びらのような甘くエキゾチックな香りが印象的な白ワインです。しっかりとした酸味で香りの印象に比べて味わいはドライです。

では、結果はいかに?

ビターチョコレート

ビターチョコレートは砂糖や粉乳の配合量が少ないため甘味が少なく、苦味が強いチョコレートです。ブラックやダークチョコレートともいいます。今回はカカオ70%のものをご用意しました。

チョコレートの中で最もカカオ含有量が多いこともあり、赤ワインが断然合いました。カベルネ・ソーヴィニョン、ピノ・ノワールどちらもOK。ただ同じチョコレートでも合わせるワインによって全く違った印象になるのが面白いところ。カベルネ・ソーヴィニョンでは、スモーキーな味わいが広がり大人のチョコレートに。ピノ・ノワールでは、チェリーのニュアンスが強調され、ビターチョコレートがとってもチャーミングな味わいに感じました。

そして、アリかな・・・と思ったのがゲヴュルツトラミネール。チョコレートの後にワインを含むと、口中がサルタナ(白ブドウを干したもの)を食した時のような味わいになり、白ワインでも合わせられないことはないかと。シャルドネは△。ビターチョコレートが勝ってしまい、バランスがいま一つでした。

カベルネ・ソーヴィニヨン ピノ・ノワール シャルドネ ゲヴュルツトラミネール
ビター

ミルクチョコレート

粉乳が配合されたチョコレートで、味わいはマイルドでカカオの香りもあり、最も市場に流通しているチョコレート。こちらは白ワインがやや優勢。中でも、私のおススメはゲヴュルツトラミネール。アロマティックで甘やかな香りが甘さの強いミルクチョコレートと見事に融合し、甘美な気分に浸れます。

次に良かったのがシャルドネ。樽熟していなくてもシャルドネの持つふくよかで幅広いマリアージュの適応性のようなものがホワイトチョコレートをさらっと受けとめているように感じました。

カベルネ・ソーヴィニヨン ピノ・ノワール シャルドネ ゲヴュルツトラミネール
ミルク ×

ホワイトチョコレート

粉乳が配合され、非脂肪カカオ分が含まれないチョコレート。カカオ分はココアバターのみ。リッチな味わいとバターのようなコクが特長ですね。これは、想像がついた方も多いのではないでしょうか。そうです、圧倒的に白ワインの2種がバッチリ合いました。シャルドネの場合は、しっくりとこなれたような見事な調和で、特に口の中で程よく溶けたホワイトチョコレートがシャルドネの余韻とピッタリ。ワインもチョコレートにもつい手が伸びてしまうくらい。

ゲヴュルツトラミネールはシャルドネとは違った面白さがあり、とにかくワインの酸がイキイキと感じられて、ミルクチョコレートがフレッシュな味わいに変化します。チョコレートの中でも華やかな印象のペアリングです。

そして、意外にもカベルネ・ソーヴィニョンも悪くないと思いました。ただピノ・ノワールとホワイトチョコレートは合わないかと。ピノ・ノワールの酸が尖って感じられてしまいました。

カベルネ・ソーヴィニヨン ピノ・ノワール シャルドネ ゲヴュルツトラミネール
ホワイト ×

ナッツ入りチョコレート

ベースは甘めのミルクチョコレートでアーモンドやヘーゼルナッツ、かぼちゃの種などの数種類のナッツがザクザク入ったチョコレート。ナッツの香ばしさが美味です。

ここでも面白い化学変化が起こりました。ミルクチョコレートの相性が良くないと感じたピノ・ノワールでしたが、同じミルクチョコレートベースですがナッツが入ると相性が良くなりました。しかしながら、一番良かったのはシャルドネでした。ナッツやミルクのリッチさやコクにはやはり何といってもシャルドネでした

カベルネ・ソーヴィニヨン ピノ・ノワール シャルドネ ゲヴュルツトラミネール
ホワイト × ×

オレンジピール入りチョコレート

オレンジピールとカカオ豆をローストし、細かく砕いたカカオニブをダークチョコレートに加えたもの。オレンジの酸味と柑橘系の香りが爽やか。

こちらには、ほぼゲヴュルツトラミネールが独り勝ちでした。オレンジピールの香りや触感までもがフィットしたゲヴュルツトラミネール。ワインの程よい酸味もよく調和していてまさにデザートを食べている感覚に。これは女性が特に好みそうな爽やかでフルーティなペアリングになりました。ピノ・ノワールはやや酸が前に出がちですが、合わなくはないかなという印象でした。

カベルネ・ソーヴィニヨン ピノ・ノワール シャルドネ ゲヴュルツトラミネール
オレンジピール&チョコ

ラムレーズン入りチョコレート

ラム酒につけた風味豊かなレーズンをミルクチョコレートで包んだもの。今回のチョコレートの中では最も個性が強いタイプです。さて、こちらには、カベルネ・ソーヴィニョンがベストマッチでした。思わず、「美味しい!」と声にしてしまいました。ビシクレタ カベルネ・ソーヴィニョンの果実味豊かで深い味わいがお互いを引き立てていて、とてもリッチで上質なドライフルーツたっぷりのパウンドケーキを食べているような、そんな気分になりました。

同じ赤でもピノ・ノワールはスモーキーさが際立ち、お互いの良さを打ち消し合ってしまいました。シャルドネも酸ばかりが突出し、ラムレーズンの風味ともケンカしている印象に。ゲヴュルツトラミネールはラムレーズンの風味に負けてしまいバランスが悪くなってしまいました。

カベルネ・ソーヴィニヨン ピノ・ノワール シャルドネ ゲヴュルツトラミネール
ラムレーズン&チョコ × ×

3.バレンタインの楽しみ方あれこれ

いかがでしたでしょうか。「チョコレート×ワイン」と一言でいってもワインによってこんなに相性が違うものなのですね。
ここ数年の傾向として、本命チョコや義理チョコの他に、仲良しの友人に渡す「友チョコ」や自分へのプレゼントとして「ご褒美チョコ」を贈るという方も多いそうですね。

チョコレート選びも、オーガニックなカカオを使っているとか、「ビーン・トゥ・バー(Bean to Bar)」といって、カカオ豆の焙煎から、チョコレートの製造を一貫しておこなうものが人気とか。このように生産者のこだわりが感じられるチョコレートを選ぶ人も増えています。

チョコレートとワインのペアリングを考えるのもバレンタインの楽しみ方の一つ。普段、あまりチョコレートとワインを合わせることが少ないという方も、チョコレートに合わせてワインを選ぶのもこの時期ならではかもしれません。是非、参考になさってみてください。

カベルネ・ソーヴィニヨン ピノ・ノワール シャルドネ ゲヴュルツトラミネール
ビター
ミルク ×
ホワイト ×
ナッツ&チョコ × ×
オレンジピール&チョコ
ラムレーズン&チョコ × ×

この記事で紹介したワインはこちら

ビシクレタ・レゼルバ カベルネ・ソーヴィニヨン
カベルネ・ソーヴィニヨン

ビシクレタ・レゼルバ カベルネ・ソーヴィニヨン
鮮烈なカシス、チェリー、プラムの香りに、ミントやコショウなどスパイスの香りが複雑性を与えている。エレガントでしっかりとした骨格を持つ、果実味豊かで深い味わいのワイン。

ビシクレタ・レゼルバ ピノ・ノワール
ピノ・ノワール

ビシクレタ・レゼルバ ピノ・ノワール
鮮烈なチェリー、プラム、イチゴの香りに、なめし皮やタバコのニュアンスが複雑性を与える。中庸な酸味とタンニンのバランスが良く、複雑で豊かな味わいのワイン。僅かにスパイシーな後味が楽しめる。

ビシクレタ・レゼルバ シャルドネ
シャルドネ

ビシクレタ・レゼルバ シャルドネ
フレッシュなパイナップルのトロピカルな香りと、微かなハーブやオレンジなど白い花のニュアンスが特長的。柔らかな酸味とトロピカルフルーツを思わせる果実味豊かなワイン。

ビシクレタ・レゼルバ ゲヴュルツトラミネール
ゲヴュルツトラミネール

ビシクレタ・レゼルバ ゲヴュルツトラミネール
鮮烈なライチの香りや、マスカット、メロン、バラの花びらの甘くエキゾチックな香りが印象的。香りがそのまま味わいにつながるような独特の風味が特長。クリアーで雑味がなく飲みやすい。しっかりとした酸味で、香りの印象に比べドライな味わい。

この記事を書いた人

竹内 綾恵美

たけうち あけみ

竹内 綾恵美

  • (一社)日本ソムリエ協会認定 ワインエキスパート

料理が大好きで、国内外問わず、旅先では必ず市場を訪れる。アルコールはあまり得意ではなかったはずが、ワインに出会い、味わいはもちろんのことワイン文化の奥深さに魅了される。2019年にワインエキスパート取得し、ワインと食の追求に邁進する日々。