2020.11.05

  • 知識

【ブドウ品種に詳しくなろう! Vol.1 】「最も旅している黒ブドウ」カベルネ・ソーヴィニヨン

1. ワイン用ブドウについて

■世界にワイン用ブドウは何種類あるの?
こんにちは、コノスルラヴァーズ熊坂仁美です。
ワインって、飲めば飲むほど奥が深くて興味がわいてきますよね。いろいろ知りたくなるけど本を買って読むほどでもないし・・・と思っている方も多いと思います。そんな方のために、今回からワインの基礎知識をわかりやすく解説するシリーズを始めることになりました。

まずはワインの原料である「ブドウ」から始めたいと思います。

ワイン用ブドウと一言で言っても、本当に数限りなくあります。世界的に栽培されている、いわゆる「国際品種」だけでもたくさんありますし、特定の地域にしかできない「土着品種」になると数千種は下らないと言われています。

ワイン業界の第一人者として知られるジャンシス・ロビンソンが最近、『ワイン用葡萄品種大事典』という本を出しました。ジャンシスによれば「世界48ヵ国、約640のブドウ栽培地域で栽培される遺伝的に異なる約1,500種類のブドウ品種から、世界のワインの99%が作られている」とのこと。本では主要品種1,368品種がまとめられています。

とはいえ、一般のワイン愛好家がそのすべてに出会えるわけではなく、一生のうちに飲むブドウ品種はそのうち数%、せいぜい10種から15種ぐらいなのではないでしょうか。逆に言えばポピュラーなブドウ10種程度の知識があれば、もう立派な「ワイン通」と言えるでしょう。

ということで、第1回は赤ワインの代表格「カベルネ・ソーヴィニヨン」を見ていきたいと思います。  

2. カベルネ・ソーヴィニヨンってどんなブドウ?

■旅する黒ブドウ
「カベルネ・ソーヴィニヨン」は、ワインショップやスーパーの棚には必ず置いてあるおなじみのワイン。メルローなどとブレンドされることも多く、それを含めれば誰もが一度は飲んだことがあるワインなのではないでしょうか。

同じくジャンシス・ロビンソン監修で業界人のバイブル的な本『ワールド・アトラス・オブ・ワイン(世界のワイン図鑑)』には、カベルネ・ソーヴィニヨンについて「most-travelled red wine variety (最も旅している黒ブドウ)」という面白い表現がありました。つまり、広く飲まれているだけではなく、重要品種として世界中で栽培されている黒ブドウなのです。

ただし、どこでもOKというわけではなく、収穫の遅い「晩熟種」なので秋になっても成熟を続けられる気候、つまり温和〜温暖な気候が向いています。冷涼すぎる気候だと成熟する前に冬が来てしまうので向きません。緯度が高く寒いはずのボルドーが原産地なのは、暖流のメキシコ湾流の影響で冬も暖かい海洋性気候であることが理由です。

代表的な産地はカリフォルニア北部、チリ、アルゼンチン、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランドと、五大陸すべてに広がっています。日本でも生産されており、生産量は欧州系品種の中ではメルローに次いで多いのですが、秋の収穫期が台風シーズンと重なる日本の場合、晩熟種のカベルネ・ソーヴィニヨンの栽培は他国と比べて難しいのかもしれません。

■味わいの特徴
小粒で果皮が厚いカベルネ・ソーヴィニヨンは、酸が高いこと、そしてタンニンを多く含んでいることが特徴です。タンニンはブドウの果皮と種子の部分に含まれる成分で、ポリフェノールが豊富で、色の濃さや熟成にも影響します。熟成によって酸もタンニンもなめらかになり、エレガントでバランスの良いワインになっていきます。

香りはカシス、ブラックチェリー、ブラックベリーなどの黒系果実。ハーブやピーマンの香りがみられる場合もあります。オーク樽で熟成させたワインは、トーストやバニラ、コーヒー、スギ、チョコレートなどのアロマが加わります。

■メルローとブレンドする理由
カベルネ・ソーヴィニヨンは他の黒ブドウ、特にメルローとブレンドされることが多い品種です。タンニンが中程度で果実味の強いメルローとブレンドすることで味のバランスを取る目的もありますが、ボルドーに関してはビジネス的な側面が大きいと言われています。早熟種で収量が早めに確保できるメルローとブレンドすることで晩熟種の宿命である収穫期の悪天候の影響や病害リスク(長雨や早霜などによるダメージ)を緩和することができるからです。

メルローとブレンドする場合の比率は生産者やヴィンテージ(収穫年)によって様々で、メルローの比率が半分以上となる場合もあります。しかし近年はカベルネ・ソーヴィニヨンの個性が見直されており、その比率が高まっているとのこと。(ソムリエ石田博氏著『ワインの新スタンダード/世界文化社』より)

■「カベルネ・ソーヴィニヨン」の特徴まとめ


1. 晩熟種で温和〜温暖な気候で育つ
2. 濃いルビー色
3. タンニンが多く酸が高い
4. 黒系果実のアロマ
5. 長期熟成が可能
6. オーク樽を使用することでさらに味わいが深くなる

3. チリのカベルネ・ソーヴィニヨン

■カベルネ・ソーヴィニヨンの代表的な産地
安定した気候と高い技術で質の高いワインを産出するチリは、カベルネ・ソーヴィニヨンにおいては特に「チリカベ」の愛称で日本でも親しまれてきました。

そのカベルネ・ソーヴィニヨンの中心的産地が、マイポ・ヴァレーです。チリで最初に葡萄栽培が始まった伝統的な産地で、チリの国内で最もカベルネ・ソーヴィニヨンの樹が植えられています。また、マイポ・ヴァレーの北側、大西洋沿岸からアンデス山脈の麓にかけて東西に広がるアコンカグア・ヴァレーも、アンデス山脈側は標高の高さにより昼夜の寒暖差が大きく、カベルネ・ソーヴィニヨンに適しています。


<マイポ・ヴァレーにあるコノスルのカベルネ・ソーヴィニヨンの畑 >


4. 味わいとフードペアリング

■カベルネ・ソーヴィニヨンを手軽に楽しめるワイン
コノスルのワインは、品種ごとに幅広いラインナップを持っています。特にカベルネ・ソーヴィニヨンでは、おなじみのビシクレタ・レゼルバから、樹齢50年以上のブドウで作られた最高峰のプレミアムチリワイン「シレンシオ」まであり、さらに前回の記事で紹介した通りオーガニックワインも充実しています。

https://conosur-lovers.jp/article/entry-224.html

予算やシーンに合わせて選べるのがコノスルワインの魅力ですが、個人的にコストパフォーマンスがかなり高いと評価している「レゼルバ・エスペシャル ヴァレー・コレクション」がおすすめです。



このワインは、カシスやブラックチェリー、プラムなど黒系果実に加えて甘やかなイチゴの果実香や、ほんのりとミントもあり、黒コショウのスパイシーさが感じられます。樽で約1年熟成をしているので、タンニンと酸味が豊富ですが果実味とのバランスがとても良く、チーズなどの簡単なおつまみとともにワインだけを楽しむこともできます。

もちろん食中酒としては、「肉に合うワイン」の代表ですから、「ステーキ」「牛肉のシチュー」「ハンバーグ」「ローストビーフ」などは間違いない選択ですし、ヴァレー・コレクションならカジュアルにハンバーガーや、アウトドアのワイルドな料理とも合わせられるのが魅力です。

■ワイルドに楽しむフードペアリング
休みの日の夕方、少しワイルドにワインを楽しみたくなり、ベランダでスキレットを使って、チョリソーソーセージと大量の赤ワインを15分ほど煮て即席おつまみを作ってみました。



唐辛子を使ったエスニックだと、このワインのやわらかなタンニンや果実味が損なわれてしまいますが、チョリソーぐらいのスパイシーさならどんと受け止めてくれます。大満足の秋の夕暮れのワインタイムになりました。  



「ブドウ品種に詳しくなろう!」シリーズ、いかがでしたでしょうか。次回も人気のブドウ品種を取り上げます。どうぞお楽しみに。

<参考文献>
“The World Atlas of Wine 8th edition” Hugh Johnson & Jancis Robinson
日本ソムリエ協会 2020教本
WSETワインレベル2、レベル3教本
『ワインの新スタンダード』石田博著(世界文化社)

この記事で紹介したワインはこちら


レゼルバ・エスペシャル “ヴァレー・コレクション” カベルネ・ソーヴィニヨン
レゼルバ・エスペシャル“ヴァレー・コレクション”カベルネ・ソーヴィニヨン
11ヶ月樽熟成。鮮烈なカシスやブラックチェリーの香りに、タバコのノートが複雑性を与え、黒コショウやミントの香りがこのワインを特長付ける。豊富なタンニンと酸味。バランスが取れたエレガントな深い味わいが特長。長い余韻が楽しめるワイン。

この記事の監修者

熊坂 仁美

ソムリエ

くまさか ひとみ

熊坂 仁美

  • (一社)日本ソムリエ協会認定 ワインエキスパート

SNSを中心にデジタルマーケターとして10年、企業アドバイス、書籍、記事の執筆、講演等を行ってきた。数年前から趣味でワインを飲むうちにはまっていき、本格的に勉強を開始して資格を取得。次の10年は、ワインや日本酒の文化とテロワールをテーマに研究と発信を行っていく。ワインの魅力で人を動かす「ワインツーリズム」にも大きな関心を寄せている。