2020.10.06

  • 知識

今さら聞けない「オーガニックワイン」をわかりやすく解説 〜環境にも身体にも優しいワインを飲もう!

何かとわかりにくい用語が多いワインの世界。「サステナビリティ」を取り上げた前回の記事【ワイン好き必読!】最近よく聞く「サステナビリティ」の意味を正確に知っておこう!は大変好評をいただきました。そこで今回は、これまたわかりにくい「オーガニックワイン(有機ワイン)」について解説していきたいと思います。

実は、コノスルラヴァーズでは以前にもオーガニックワインの特集記事を出しています。

「美味しくて自然にも優しい!コノスル『オーガニック』シリーズのこだわりを知る」

こちらの記事も併せて読んでいただくと、さらにオーガニックワインへの理解が深まると思います。

1. オーガニックワインの定義とは?

オーガニックワインとは、有機農法で作られたブドウを原料とした、人にも環境にも優しいワインのことです。

「有機農業の推進に関する法律」(平成18年法律第112号)の定義によると、有機農業とは、
1. 化学的に合成された肥料及び農薬を使用しない
2. 遺伝子組換え技術を利用しない
3. 農業生産に由来する環境への負荷 をできる限り低減する
農業生産の方法を用いて行われる農業のことです。

また、有機農法の畑として認められるには、有機農法を開始してから2~3年以上の移行期間を経なければならず、毎年厳しい監査をクリアしなければなりません。移行期間中「オーガニック」を名乗ることはできないという、思った以上に厳しい条件なのです。

そして「オーガニックワイン(有機ワイン)」と呼べるのは、このような有機農法で作られたブドウを使用して醸造され、しかるべき機関により認証を受けたワインだけです。

海外において同等の基準で認証を受けたワインも「オーガニックワイン」または「有機ワイン」とラベルに記載することができます。ドイツのオーガニック認定機関「BCSエコ」、フランスのオーガニック認定機関「エコサート」の認証を受けているコノスルのオーガニックワインはこれに当てはまります。

2. オーガニックとビオ、何が違う?

オーガニックワインのほかに「ビオワイン」「自然派ワイン」などの言葉もよく聞きます。呼び方がいろいろあって混乱しますが、なぜこんなんにたくさんあるかというと、国によって呼び方が違うところから来ているようです。

まずは「ビオ(Bio)」について見ていきましょう。
ビオワインはもともとドイツ語の「Biowein(ビオヴァイン)」から来ていますが、これは有機ワインのことで、フランス語では「Vin(ヴァン) biologique(ビオロジーク)」と言います。英語ではこれを「organic(オーガニック) wine(ワイン)」と呼んでいます。要するにそれぞれの国の言葉で同じことを指しているにすぎないのですが、カタカナにしてしまうと定義があいまいになってしまいます。でもこれはEU内ではきちんと定義された言葉であり、「Bio」と表記するためには一定の基準を満たしてしかるべき機関から認証を受けなければなりません。



前述のとおり、日本では「オーガニック」または「有機」と用語統一しており、「ビオ」や「ビオワイン」という表現は公式には使われておらず、定義もされていません。逆に言えば勝手にビオワインと名乗っているワインがあったとしても、それを規制することはできません。ただし有機先進国のEUでBio認証を受けている輸入ワインであれば日本でも有機ワインとして認められ、ラベルに記載されますので、オーガニックワイン購入の際にはしっかりチェックしましょう。


<「有機農産物加工種類」の記載と「エコサート」などの認証マークが入ったコノスルのオーガニックワイン>


次に「自然派ワイン」、および「ナチュラルワイン」について見ていきましょう。
この概念は、もともとはフランス語の「Vin(ヴァン) ”nature(ナチュール)」から来ています。有機栽培のブドウを使って、ブドウ栽培と醸造の両面で、できるだけ人為的・化学的な介入を排した自然なワイン造りを目指してきたのが「自然派ワイン」です。実はEUの有機ワインに関する規定は、2011年まではブドウ栽培に関する規定のみで、醸造過程に関する規定はありませんでした。この規定が盛り込まれたのはようやく2012年以降のことなのです。
逆に自然派ワインは、もともと1960年代に「Vin(ヴァン) sans(サン) soufre(スフル)(SO2を使わないワイン)」と言われていたものから始まったものが、1986年ごろから「Vin(ヴァン) nature(ナチュール)」という言葉で表わされるようになった経緯から見ても、醸造過程で使われる酸化防止剤(SO2)を減らそうというのがそもそもの始まりだったようです。

培養酵母ではなく天然酵母を使ったり、添加物を使わない、熱殺菌を行わないなども含め、栽培や醸造のあらゆる過程をできるだけ自然に近い形で行おうという方向に発展してきました。この言葉が公式に使われだしたのは、2005年に志を同じくする生産者たちの団体「L'Association(ラソシアシオン) des(デ) Vins(ヴァン) Naturels(ナチュレ)(AVN)」が立ち上げられてからのことのようです(※)。

「ナチュラルワイン」または「自然派ワイン」という言葉に具体的かつ明確な定義はなく、従って認証制度もありません。小規模な家族経営の生産者などの中には、有機農法で育てたブドウを使って実質的に有機ワインを作っていたとしても、有機認証を受けるには時間と費用がかかるため認証をあえて受けないケースもありますので、認証の有無にかかわらず「自然派ワイン」という表現が使われているというのが現状です。

また、「ビオディナミ」という言葉も最近よく聞かれます。ビオディナミ農法とはオーストリアの神智学者ルドルフ・シュタイナーによって20世紀初頭に提唱された農法で、世界最古にして最も厳格な有機農法です。彼が1924年に行った「農業講座(Landwirtschaftlicher Kurs)」が、今日に受け継がれるビオディナミ農法の基本となっており、ワインにも応用されています。この農法を実施する団体がデメター(demeter)でその設立は1928年、数ある有機農法生産者団体のなかでも最も歴史が古く、また基準も厳しいことで知られています。

独自の方法で作られるオーガニック調剤や堆肥を使いながら、月の満ち欠けなどの天体の影響を考慮に入れて種まき、剪定の時期を決めて農作業を行います。もちろん、化学的に合成された肥料や農薬は使わない(ボルドー液は除く)、徹底した有機農法です。

3.拡大するオーガニック市場の中で

さて、オーガニック食品市場は年々拡大傾向にあり、FiBL(世界有数の有機農法研究機関) によれば、2019年、ついに10兆円超えの10.8兆円となりました。前年比で12.5%増、この拡大傾向は止まる兆しがありません。

そこで気になるのはやはり我が国のオーガニック事情です。「食の安全性」という分野において日本は優等生というイメージを持つ方は多いと思いますが、少し残念な傾向があります。農薬に規制をかけ安全で健康なオーガニック食品に移行している欧米や中国に対し、日本はオーガニックへの移行がなかなか進まず、むしろ農薬に対する規制緩和が行われているのです。将来にわたって持続可能なワイン産業とは何かについて、地球レベルで真剣に考え取り組んでいかなくてはならない今、日本もこの波に乗り遅れないようにしてほしいものです。

4.コノスルのオーガニック農法

前回の記事ではコノスルの先進的なサステナブルへの取組みをご紹介しました。オーガニックについても同様で、その取組みのスタートは早く、1999年、コルチャグア・ヴァレーの40ヘクタールのブドウ畑で有機農法プロジェクトが始まりました。最初のオーガニックワインが作られたのは2003年。有機認定に必要な3年間の有機農法への移行期間を終え、ドイツBCSエコの有機認定を取得したのです。品種はカベルネ・ソーヴィニヨンとカルメネールの2種。それ以来、コノスルは有機認定のブドウ畑を拡大し続け、現在は約300ヘクタール、東京ドームおよそ230個分の規模で様々な品種のブドウを有機農法で栽培しています。
オーガニック農法のいいところは、ブドウ本来の生命力を活かすこと。通常のブドウ畑の管理方法は、農薬を使って病害のもとになるものを排除しますが、この方法を続けるとブドウは抵抗力がなくなり、元気に育たなくなってしまいます。ブドウが生き生きと育つためには、生物多様性、つまり様々な植物や生物がひとつの環境に共生していることが重要です。そうすることで生態系が健康に維持され、ブドウも元気に育つのです。

コノスルではブドウの絞りかすや茎などを発酵させた堆肥を使ったり、ガチョウを使って害虫駆除を行ったり、害虫の習性を利用してブドウの木以外の場所、つまり畝間に花などを植えてそちらに誘導するなど、自然のものを使った様々な農法を確立しています。



5.オーガニックワインをテイスティング!

オーガニックワインが身体にやさしいということは十分におわかりいただけたと思います。しかしワインはなんと言っても味わいが大事。有機農法で作られた、人にも環境にも優しいオーガニックワイン。これで味も最高なら言うことなしですが、実際にはどうなのでしょうか。

一般的なイメージとして、初期のころのオーガニックワインあるいは自然派ワインは美味しくないという印象が強く、その悪い印象がついたまま、オーガニックワインのコーナーは素通りするようになってしまった方も多いのではないでしょうか。

コノスルのオーガニックワインには豊富なラインナップがあり、ワインショップやスーパーの棚でも、再生紙を使った自転車のラベルをよく見かけると思います。今回はコノスル全種類(6種)を試飲させていただきました。

どのワインもそれぞれの品種の良さを活かした味わいが特徴的ですが、その中でも特に美味しいと感じた赤ワイン2本をご紹介します。2本ともカベルネ・ソーヴィニヨンが主体のワインです。

オーガニック カベルネ・ソーヴィニヨン/カルメネール/シラー



ワインスペクテーターやジェームス・サックリングなどからも高評価を得ているこのワインは、カベルネ・ソーヴィニヨン(49%)、カルメネール(26%)、シラー(25%)の3種のブレンド。コノスルの「オーガニックの赤」の代表的な1本と言えるでしょう。

エコサート認定、100%オーガニックなブドウから作られ、収穫は手摘み、フレンチオークで2カ月、6カ月をステンレスタンクで寝かせたもので、フレッシュさを大事にしながらも少しだけ樽のニュアンスを加えたワイン。アルコール度数は14%とやや高めです。

輝くような深いルビー色、香りはプラムやブラックチェリー、ブルーベリーを感じました。オーク樽からくるバニラや、チョコレートやコーヒーのような香りも。ほどよいタンニンを感じましたが、全体にまろやかな仕上がりになっています。

コノスルオンライン飲み会でおなじみのワインYouTuberのゆきおさんも、このワインを取り上げ、「年々進化していて、どんどん美味しくなっていて驚いた」とコメントしていました。「エレガント」「雑味のないきれいな味わい」という表現を使われていますが、まさにその通りだと思います。



オーガニック グラン・レゼルバ カベルネ・ソーヴィニヨン



エコサート認定の有機ブドウを100%使用しており、「グラン・レゼルバ」の名の通り樽で14カ月、ステンレスタンクで1カ月と、かなり熟成をかけたワインになっています。
栽培は、地中海気候で日較差が大きいコルチャグア・ヴァレーのサンタエリサ農園の有機栽培のブドウを手摘みで。カベルネ・ソーヴィニヨンが85%、シラーが15%入っています。選び抜いたブドウを丁寧に栽培し、15ヶ月の熟成。これで美味しくないわけがありません。

香りの第一印象は、とてもエレガントなカベルネ・ソーヴィニヨン、でした。色調は紫がかった濃いルビー、香りは最初にスミレの花の華やかさと、プラム、カシス、ストロベリーなどの赤系と黒系果実の両方を感じました。ミントやユーカリなどハーブのニュアンスもあります。

真っ先に感じるのはタンニンの心地よさ。しっかり主張していながら丸みがあり、「身体にやさしいワイン」を実感します。テクスチャーはきめ細かい滑らかさがあり、酸味は強すぎず、さわやかなのに濃縮した果実味が特徴です。後味も長く続く完成度がとても高いワインです。カベルネ・ソーヴィニヨンは食事に合わせやすいですが、このワインならできればオーガニック野菜など自然派の食材を使った料理と合わせたら完璧な食卓になると思います。

進化しつづけるコノスルのオーガニックワイン。オーガニックにこだわる方はもちろん、オーガニックは苦手という方にこそぜひ飲んでいただきたいワインです。特に過去にオーガニックに悪いイメージがある方は、その印象がきっとアップデートされるはず。ぜひ試してみてください。

※参考文献:「ナチュラルワイン:いま、飲みたい生きたワインの作り手を訪ねて」Festivin編、中濱潤子著/誠文堂新光社

この記事で紹介したワインはこちら


オーガニック カベルネ・ソーヴィニヨン/カルメネール/シラー
オーガニック カベルネ・ソーヴィニヨン/カルメネール/シラー
エコサート認定の有機栽培葡萄を使用。オーク樽で6ヶ月、ステンレスタンクで2ヶ月熟成。チェリー、ラズベリー、イチゴなどの果実香、ヴァニラのニュアンス。滑らかで豊かなタンニンがあり、土壌に由来するミネラルの滋味が感じられる。


オーガニック グラン・レゼルバ カベルネ・ソーヴィニヨン
オーガニック グラン・レゼルバ カベルネ・ソーヴィニヨン
エコサート認定の有機栽培葡萄を使用。樽で14ヶ月、ステンレスタンクで1ヶ月熟成。コノスルが本拠地を構えるコルチャグア・ヴァレーのサンタ・エリサ葡萄園で丹念に育てた有機栽培葡萄の中から最高品質のもののみを厳選し、葡萄本来の味わいを最大限に引き出したオーガニックワイン。プラム、クランベリーやストロベリーのチャーミングな香り。柔らかなタンニンのエレガントでシルキーな味わい。

この記事の監修者

熊坂 仁美

ソムリエ

くまさか ひとみ

熊坂 仁美

  • (一社)日本ソムリエ協会認定 ワインエキスパート

SNSを中心にデジタルマーケターとして10年、企業アドバイス、書籍、記事の執筆、講演等を行ってきた。数年前から趣味でワインを飲むうちにはまっていき、本格的に勉強を開始して資格を取得。次の10年は、ワインや日本酒の文化とテロワールをテーマに研究と発信を行っていく。ワインの魅力で人を動かす「ワインツーリズム」にも大きな関心を寄せている。