2024.04.01

  • 楽しみ方

この春、チャレンジしてみたい グリーン・ソサエティ シリーズ ワインとナチュラルチーズのペアリング


そろそろ桜前線の便りも聞こえ始めた今日この頃。春の明るい日差しが降り注ぎ、心もウキウキしてきますよね。4月は環境が変わられる方や何か新しいことをスタートさせる方も多いのでは。そこで、今回は、コノスルから新しくリリースされたグリーン・ソサエティをより手軽にそしてより本格的に楽しむために、ナチュラルチーズとのペアリング術をご紹介します。



■ナチュラルチーズとは

<日本におけるチーズの歴史>

ワインのおともといえば、「チーズ!」という方は多いことでしょう。しかし、チーズの世界はワインに勝るとも劣らない深~い世界。ワインが日本に持ち込まれたのが1549年の戦国時代。一方、チーズはというとさらにその1000年ほど前の飛鳥時代といわれています。しかし、この頃のチーズの造り方は現在とはかなり異なっていたようです。現在、私たちが⾷べているようなチーズ造りが日本で始まったのは明治初期。明治政府開拓使直轄の試験場である北海道七重官園で、アメリカ人エドウィン・ダン氏がチェダーの製法を指導したことに始まります。その後、戦後の高度経済成長とともにチーズの普及が加速しました。



<ナチュラルチーズとプロセスチーズの違い>

さて、チーズのパッケージの裏側をみると「ナチュラルチーズ」と「プロセスチーズ」があることにお気づきかと思います。ナチュラルチーズとは、牛などの反芻動物の乳を使い、乳酸菌や凝乳酵素などで乳を固めて水分を除去します。チーズ内には乳酸菌などの微生物や酵素が活動していて、風味や状態が徐々に変化するのが特徴です。
一方、プロセスチーズは保存性に優れたチーズを造る目的で開発されました。その工程において加熱殺菌するためにチーズ内の微生物や酵素は活動が止まり、品質が変化しにくくなります。どちらにも利点がありますが、美味しさや生産地の個性を追求したいのならナチュラルチーズがおすすめです。



■グリーン・ソサエティ シリーズとナチュラルチーズの共通点

奥深いナチュラルチーズの世界ですが、実はワインと共通する概念が多々あります。ヨーロッパではワイン同様にその品質基準や製法、商品の表示内容については法律が定められています。例えば、日本でもよく知られている白カビタイプのカマンベールチーズですが、これはフランス・ノルマンディ地方のカマンベール村で伝統的に造られていたチーズが原点です。原産地呼称の獲得が遅かったため「カマンベール」という名前のチーズは全世界でありますが、本家本元のカマンベールは「カマンベール・ド・ノルマンディ」といい、原産地呼称やその製法などを守るという点でもワインと共通点があります。
またチーズにもワインと同じように、その味わいや風味が変化することを価値とする「熟成」という概念があります。ワインもチーズも出来立てのフレッシュな味わいを楽しむものから、数年あるいは数十年熟成させることで醸し出される味わいを楽しむものもあります。さらには、それらが造られた土地、気候風土、伝統などの環境そのものを反映させるという点でも共通しています。



グリーン・ソサエティシリーズはコノスルが長年取り組んできた環境への配慮、その土地に息づくものとの共存を体現化したワインです。やはりこうしたワインにはナチュラルチーズがピッタリ。クリーンでピュアな印象のグリーン・ソサエティシリーズは、ナチュラルチーズの個性をうまくとらえて、お互いの持つ「素」の良さを味わえる、優しくも本格的な楽しみを味合わせてくれるでしょう。



■手軽に楽しめる本格!ナチュラルチーズとワインのペアリング術

ということで、今回はチーズとワインの講座などを主宰されている佐藤 燿子先生にグリーン・ソサエティに合うナチュラルチーズの組み合わせについてアドバイスをいただきました。
先生によると、当然ですがチーズにも旬があり、春はシェーブルタイプ(山羊の乳で造られたチーズ)が旬だとか。お乳を出すには出産を経た雌の哺乳類であることが必須条件となるわけですが、一般的に出産シーズンは3月~5月。この時期に採れるミルクは母山羊が若葉をふんだんに食べることからより爽やかなシェーヴルが味わえます。一年でもっともシェーヴルが美味しい時期とも言われています。そんな味わい深い春のシェーヴルに合わせるなら、グリーン・ソサエティ ソーヴィニヨン・ブランです。



*名称:シェーヴル・ドール
*産地:フランス/ロワール地方
*原料乳:山羊乳(無殺菌乳)
*チーズのタイプ:シェーヴルタイプ


シェーヴル・ドールは無殺菌乳を使用し、丁寧に手で型入れするなど、伝統的な製法と品質にこだわり造られるシェーヴルで、きめ細かくしっとりとした口当たりが特長。熟成の若い状態のものは爽やかな酸味があり、グリーンソサエティ ソーヴィニヨン・ブランのフレッシュ感やグラッシーな香り、はつらつとした酸味によくマッチします。実際に佐藤先生にもテイスティングしていただきましたが、グレープフルーツやハーブのニュアンスがある、フレッシュな味わいのグリーン・ソサエティ ソーヴィニヨン・ブランは春のシェーヴルと抜群の相性です。クリーミーな山羊のミルクがグリーン・ソサエティ ソーヴィニヨン・ブランの持つ特徴ととてもリンクしていて、爽快で柔らかなミルクが余韻とともに深く溶け合い、ワインがよりイキイキとした印象に感じました。

チーズ専門店でないとなかなか取り扱いがないシェーヴルですが、同じくフレッシュ感や爽やかさが感じられる熟成の若いチーズが合うとのこと。また、クルミやナッツ入りのパン・ド・カンパーニュなどを付け合わせることでパンとナッツの香ばしさがチーズの風味をさらに昇華させ、ワインとのマリアージュをバランスのいいものにしてくれるそうです。

お次は、比較的手に入りやすい白カビタイプの「ブリ」とグリーン・ソサエティ シャルドネです。


*名称:ブリ
*産地:フランス
*原料乳:牛乳
*チーズのタイプ:白カビタイプ 

輸入食品を取り扱うスーパーや食料品店で販売されている一般的な工場製ナチュラルチーズで、クセがなく穏やかな風味のため、ナチュラルチーズ初心者でも食べやすいタイプです。グリーン・ソサエティ シャルドネの持つふくよかな果実味にブリの持つミルクの味わいが優しく寄り添います。ブリはリンゴとも相性がいいので、ワインに感じるリンゴのニュアンスに合わせ、リンゴのスライスを添えてみるのも良いでしょう。ワインとの相性をより高めるなら、赤いリンゴより青リンゴや黄リンゴの味わいの方がまとまります。

続いて、赤ワインはどうでしょうか。実はチーズとの相性は白ワインの方が合わせやすい要素がありますが、チーズのセレクトや付け合わせにより、赤ワインとの相性もグンとよくなります。

グリーン・ソサエティ カベルネ・ソーヴィニヨンに合わせるならこちらのチーズはいかがでしょうか。



*名称:カブラレス
*産地:スペイン/アストゥリアス地方
*原料乳:牛、羊、山羊の混乳(季節による)
*チーズのタイプ:青カビタイプ



「幻のブルーチーズ」と呼ばれているカブラレスは、ねっとりとして口に含むとホロリと崩れ、濃厚な旨味を感じます。熟成は天然の洞窟で行います。ピリッとした刺激があり、ほろ苦さも感じるため、赤ワインとの相性がとてもよいです。グリーン・ソサエティ・カベルネ・ソーヴィニョンは若々しくはありながらも凝縮感を感じるワインですので、このねっとりしたテクスチャーと旨味が複雑感を与え、チーズとワインの本格的なマリアージュを楽しめます。

カブラレスはやや手に入りにくい場合がありますので、よりメジャーな「スティルトン」もこのカベルネ・ソーヴィニヨンによく合うと思います。また、先ほどの白カビタイプの「ブリ」でも挽きたてのブラックペッパーを添えるとカベルネ・ソーヴィニヨンとも相性がよくなります。

ラストは、グリーン ソサエティ カルメネールとのペアリングです。

*名称:ベームスター エキストラオールド(長期熟成ゴーダ)
*産地:オランダ
*原料乳:牛乳
*チーズのタイプ:セミハードタイプ



朝食に添えて食べる熟成の若いゴーダとは一味違う、長期熟成タイプのゴーダです。濃厚で旨味が強く、口に含むと芳醇な味わいが広がり、グリーン・ソサエティ カルメネールの凝縮感のある味わいに、長期熟成により凝縮した乾いたチーズのテクスチャーがよく合います。ワインの力強さとのバランスも良く、チーズがわずかに持つキャラメルのようなニュアンスの甘さとワインの樽香が、とてもいいマッチングです。
このチーズは薄めに切り分けたり、スライスしたりするのではなく、チーズを一口大に砕いて豪快に頬張ってみてください。大きなチーズをかみしめることで、旨味をより直接的に感じ、ワインとの相性もさらによいものになります。

さて、いかがでしたでしょうか。チーズといえども様々なタイプがあり、ワインとのコンビネーションは無限と言っても過言ではないでしょう。ワインの特長を抑えつつ、手軽なチーズとのペアリングを実践してみると、ワンランク上のワインの楽しみ方を味わえそう。ハード系のパンやナッツ、ドライフルーツやジャム、蜂蜜などもワインやチーズを引き立ててくれます。ナチュラルチーズでこの春、ワンランク上のペアリングにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。



<記事協力>
▷佐藤 燿子(さとう ようこ)氏
ワインとチーズのサロン&オンラインスクール
Salon de YOKO -サロン・ド・ヨーコ- 主宰
C.P.A(チーズプロフェッショナル協会)認定チーズプロフェッショナル
J.S.A(日本ソムリエ協会)認定 シニアワインエキスパート、SAKE Diploma
ワイン、日本酒、チーズに関する講座の主宰、講演、執筆などで活躍中。


この記事で紹介したワインはこちら

ソーヴィニヨン・ブラン
ソーヴィニヨン・ブラン

ソーヴィニヨン・ブラン
柑橘系果実の香りに、グレープフルーツやハーブのニュアンスがある、フレッシュな味わいのワインです。

シャルドネ
シャルドネ

シャルドネ
柑橘系果実の香りにオレンジの花やパイナップルのニュアンスがある、心地よい酸が感じられるワインです。

カベルネ・ソーヴィニヨン
カベルネ・ソーヴィニヨン

カベルネ・ソーヴィニヨン
プラムやラズベリー、カシスを思わせる香りに、かすかにモカのニュアンスがあるワインです。なめらかな口当たりでバランスのとれた味わいがあり、長い余韻が楽しめます。

カルメネール
カルメネール

カルメネール
ブラックベリーのような香りに、スパイスやダークチョコレートのニュアンスがあります。ジューシーな味わいとなめらかなタンニンが感じられる、バランスのとれたワインです。

この記事を書いた人

竹内 綾恵美

ソムリエ

たけうち あけみ

竹内 綾恵美

  • (一社)日本ソムリエ協会認定 ワインエキスパート

料理が大好きで、国内外問わず、旅先では必ず市場を訪れる。アルコールはあまり得意ではなかったはずが、ワインに出会い、味わいはもちろんのことワイン文化の奥深さに魅了される。2019年にワインエキスパート取得し、ワインと食の追求に邁進する日々。