2020.04.28

  • 楽しみ方

ソムリエ4人がオンラインで「コノスル飲み会」やってみた!


話題の「オンライン飲み会」ってどんな感じ?

新型コロナによるステイホームの日々、皆さん元気にお過ごしでしょうか。というか、元気でいればいるほど家にいるのはツラいですよね。特にこれまで週2〜3回は飲み会を入れていたような社交的な方にとっては、人に会って話して飲んでの平常運転ができない生活にストレスを感じていらっしゃるのではないでしょうか。
そんな中、いま話題沸騰しているのが「オンライン飲み会」。ZOOM(ズーム)などの会議システムを使って行うエア飲み会です。本来ビジネスミーティングやウェブセミナーのために作られたサービスを飲み会に使っちゃおうというもので、コロナ禍が生んだ新しい酒文化と言えるかもしれません。
では、このオンライン飲み会、リアルの飲み会とどこが似ていてどこが違うのでしょうか。ポイントを整理してみました。

人数は何人ぐらいが適当か?

まず人数ですが、リアルと同じく少人数から大宴会まで可能で、システム上では100人でも簡単にできてしまいます。ただ、大人数で一つのテーマで話すのは無理があり、大宴会に参加しても結局まわりの数人だけとしか話さなかった、という経験は誰もがお持ちでしょう。これはオンラインでも同じで、そのためZOOMには小部屋機能(ブレイクアウトルーム)があり、少人数に振り分けることができます。同窓会などで使用する場合、最初は大人数で開始し、次第に仲の良い人だけで小部屋に集まって話すといった使い方をしているとか。ただ、そうなると仕切り役の「ホスト」(幹事)が大変ですし、そもそも大人数でやる意味がありません。個人的な体感としては、多くて7〜8人、現実的には4〜5人ぐらいがちょうどいいと思います。実際の飲み会でテーブルひとつを囲む感じですね。

どんなメンバーでやるのがいい?

いつもの仲間だけでやるのもいいですが、せっかく場所の制限がないオンラインなので、遠くに住む人や、普段会わない、会えない人を誘うのはアリです。海外の方でも時間さえ合わせれば参加できます。全員が初顔合わせというのも面白いですが、気を遣うし盛り上がらないリスクがあるので、いつもの仲間にゲストで一人か二人呼ぶぐらいがちょうどいいかなと思います。その際には同じ関心事や共通テーマで語れる人だとさらにいいでしょう。

ドリンクとおつまみは?

オンライン飲みではドリンクもおつまみも基本自由で、ビールの人もいれば焼酎の水割りの人もいるし、ワインにしても、それぞれ好きなワインを飲みます。おつまみも同じ。逆に言えば、ドリンクやおつまみを統一すればリアル飲み会により近づけます。先日私がやったのは、コロナで一時閉店が決まったレストランバーからテイクアウトをし、常連客だけでそれぞれの家でオンライン飲み会をしました。お店の人にも入ってもらい「やっぱりこのラザニア超美味しいね!」「お店の再開楽しみにしてます」などと大いに盛り上がりました。
ワインを統一するのもオススメです。みんなでボトル1本オーダーする感覚で同じワインを飲めば、一緒に飲んでいる感がぐっと高まります。その場合は、手に入れやすく高すぎないワインがいいでしょう。マニアックな高級ワイン縛りではハードルが高すぎるからです。その点、リーズナブルでコンビニやスーパー、通販でも手に入りやすいコノスルはオンライン飲み会にぴったりです。
ということで、①少人数で行う②ゲストを加える③飲み物を統一するという、熊坂式「オンライン飲み会盛り上がり三原則」にのっとり、コノスル飲み会を開催することになりました。

参加メンバーと飲むワインを決める

テーマは「コノスルについて語ろう」。人数は4人、少々マニアックな話もしたいのでワイン有資格者限定にしました。ワインエキスパート資格者の熊坂と、料理が得意なコノスルラヴァーズライター竹内あけみさん、そして二人の共通の友人でワインショップオーナーのソムリエ 鈴木浩一郎さんの3人がまずはメンバーに決定。

さて、もう一人ゲストを誰にする?

そこでぱっと頭に浮かんだのが、ワインユーチューバーの「ゆきお」さんでした。好きなワインを一人で解説しながらテイスティングする「ゆきおとワイン」という動画は、ワイン好きなら一度は見たことがあるのではないでしょうか。ゆきおさんはコノスルファンで、よく動画で取り上げているのです。



ゆきおさんとお話してみたい。全く面識がなかったのですが、ダメもとで連絡してお誘いしたら、なんと、すんなりOKしていただきました。いやー、言ってみるもんですね。これがリアルの飲み会だったらいろいろハードルが高すぎて実現は難しかったはず。オンラインであれば移動もなく家で数時間飲むだけ。誘われた側もOKしやすいのかもしれません。これぞオンライン飲み会の醍醐味!

ちなみにゆきおさん、ワインユーチューバーはあくまで趣味で、本業はワインの輸入商社にお勤めの会社員。もともと飲食関係のお仕事をされていて、ソムリエの資格を取ったのをきっかけに今の仕事に。ワインの楽しさをいろんな方に知っていただきたくてユーチューブを始めたとのこと。いわゆる「企業案件」は受けておらず、自社のワインすら紹介したことがなく、純粋に自分が好きなワインだけを取り上げているのだそうです。

ワインは自転車マークでおなじみ「ビシクレタ・レゼルバ」シリーズのソーヴィニヨン・ブラン(白)とピノ・ノワール(赤)の2本をチョイス。参加者にそれぞれ用意してもらいました。


<ビシクレタ・レゼルバ「ピノ・ノワール」(上)と「ソーヴィニヨン・ブラン」(下)>


背景画像にもこだわってみる

さて、ここでもう一つ盛り上げる仕掛けを考えてみました。背景画像です。何も設定しないと部屋の様子が映るのですが、生活感を出したくない時や、ちょっと自己アピールしたい時には背景を好きな画像に変えられる機能がZOOMにはあります。やり方は簡単で、スマホやパソコンにあらかじめ好きな画像を入れておき、ZOOMを起動してカメラがオンになったら「背景画像を変更」で選べばOK。(ただし、スマホもパソコンも古い機種だとできないものもあるので確認の必要があります)
コノスル飲みなので、コノスルのブドウ畑やワイナリーの写真を背景にしたらさらに盛り上がるのでは・・・ということで参加者に連絡。
コノスルの本国サイトに行くと、畑やワイナリーの写真がたくさん公開されています。
https://www.conosur.com/en/valles-y-bodegas/

たとえばこんなのです。



いい感じですね。
私はワイナリー(醸造所)の内部、木樽が並んでいる写真を選びました。

コノスル飲み会、スタート!

時間になり、あらかじめ送ったリンクにアクセスして全員集合しました。みんな背景画像も無事に入れられたようです。



いよいよコノスル飲み、スタートです。

それぞれが用意したおつまみは?

熊坂:皆さん今日はよろしくお願いします。まずはソーヴィニヨン・ブランで乾杯しましょう。
(全員、スクリューキャップを開けてグラスにワインを注ぐ)
一同:乾杯!
熊坂:うん、美味しい!冷やしておいたので余計美味しいです。ところでフードは各自適当に用意することになっていましたが、何を用意しましたか?
鈴木:僕の今回のテーマは「コンビニめしとコノスルを合わせる」なので、すべてコンビニで買ってきたものです。カニカマのマヨネーズ和え、タコとバジルのサラダ、そして生ハム。これは白ワイン用で、赤ワインにはまた別なものを用意しています。
熊坂:さすがですね。ちなみに私は時間がなくてチーズとクラッカー、ナッツだけです(笑)。チーズにちょっとこだわってるぐらい。
ゆきお:あ、すみません、僕もほんとに家にあるナッツだけです。
竹内:私は家の近くのイタリアンレストランでテイクアウトのプレートを買ってきちゃいました。


<竹内さんが用意した、地元で人気のレストランのテイクアウトメニュー>


一同:わー、美味しそう!
竹内:これで2000円です。金柑のコンポート、生のりとヒラメの肝ソース、タコのバルサミコソース、牛頬肉の煮込みなど、いろいろ入っているので今日のワインでどれが合うのかペアリングが楽しみです。
熊坂:豪華ですね〜、どれもワインに合いそう。レストランのテイクアウトは食材をいいものを使っているのに、お値打ちなものが多いですよね。
鈴木:画面越しに手を伸ばして取りたくなります(笑)。

コノスルのソーヴィニヨン・ブランの魅力

熊坂:皆さんソーヴィニヨン・ブランのコメントお願いします。
竹内:ソーヴィニヨン・ブランってハーブのアロマが強いイメージがありますが、これは果実味が強くてふくよかな感じすらします。最後にグレープフルーツの苦みもありますね。
ゆきお:ものすごく品質が高いと思います。他の国のものとは明らかに違ってフルーツの香りが強いので、ソーヴィニヨン・ブランが苦手という方でもいけると思います。でもちゃんとソーヴィニヨン・ブランのアイデンティティはもっている。あと、飲んだあとに嫌な感じが残らないですよね。そのバランスがよくて、これをこの価格帯でやられちゃうと、すごいなってしか言えないですよね。
熊坂:そう、この価格でこの味なら、ほかはいったいどうしたらいいんですかって感じですよね。
鈴木:コスパは素晴らしいですよね。口に入った瞬間はソーヴィニヨン・ブランらしからぬというか、竹内さんが言うように果実味がまず来ますね。でも飲んだ後に鼻から抜ける時にハーブが伴って、ソーヴィニヨン・ブランらしさを忘れていない。いろいろ言いましたが、普通においしいです(笑)。

ピノ・ノワールで盛り上がる

熊坂:酔っ払わないうちにピノも開けちゃいましょう。
(全員、ピノ・ノワールを別のグラスに注ぐ)
熊坂:まず色がきれいですよね。クリアなルビー色。
竹内:いい色ですよね、輝きがあって。コノスルはどれも色がきれいで、グラスに注いだ時に「あ〜」という感動があって、テンション上がります。
鈴木:僕はまだワインの情報を見てないんですが、これ、樽かけて(樽熟成して)ますか?
ゆきお:樽は少しかかってますよね。ロースト感があります。
熊坂:えっ、そうですか。あ、確かに、少し甘いバニラのアロマがありますね。どうなんだろう、誰か調べて〜
竹内: 35%樽熟成、65%ステンレスタンクですね。
ゆきお:それでこのバランスなんだ・・・絶妙ですね。
鈴木:最初のアロマじゃなくて、あとのほうから樽香が来るんですよ
ゆきお:そう、最初はフルーツなんです。赤系果実で、ラズベリー。あとはブルーベリー、ちょっと黒系果実にも寄っている。
鈴木:黒系果実ありますね、ブラックチェリーと言ってもいいかも。
ゆきお:若干ありますね。赤から黒の中間で、この微妙なバランスがいいですね。
鈴木:時間を置いて開いたら香りが変わってきそうですね。飲み進めていくにつれていろんな香りを楽しめそうです。

鈴木:少し時間を置いたらやはり熟した感じが出てきましたね。
ゆきお:このピノは本格的だと思います。「とりあえずピノ作りました」みたいな生産者のものとは全く違う、自分たちは本格的なスタイルのピノ・ノワールを作っているという生産者の意思を強く感じる香りと味わいというか。コノスルはほかの品種もすべてにそれを感じます。フランスのピノとは違う個性があって、コノスルが独自の個性を打ち出していているとすれば、それはすごいことだなと。
熊坂:醸造家インタビューの記事を書かせていただきましたが、最初はコノスルの醸造家が要請しブルゴーニュから醸造家(師匠)がこられ、一緒にプレミアムピノ・ノワールを作るために専用のセラーを作ったそうです。そのあとはコノスルの醸造家の方がテロワールを大事にしながら作られてます。技術は本当に高いですよね。すごいのは、今飲んでいるベーシックラインのビシクレタでもこのクオリティなのに、そのあとレゼルバ・エスペシャル、シングルヴィンヤード、20バレル、そしてオシオと、ランクがたくさん用意されているんです。ピノだけで全部飲み比べしてみたい(笑)。
一同:それやりたいです!

ピノ・ノワールのフードペアリング

鈴木:ピノ・ノワールにはコンビニのハンバーグにしてみました。このハンバーグにはチーズが入っていて、デミグラスソースとチーズの甘さがピノに合ってます。そしてこれ、鶏と豚の合い挽きなので。
熊坂:それなら牛肉より淡泊なのでピノに合いそうですね。
鈴木:あと、このピノにはスパイシーさがあるので、スパイスを入れたハンバーグは相性がいいです。
竹内:私のプレートには辛いサラミが入っているんですが、ピノと合わせると辛さが甘く感じます。このピノならスパイシーな、例えばエビチリなんかもいけるかも

オンライン飲み会について

竹内:同じワインを飲んでるって楽しいですね。
熊坂:そう、香りや味わいをみんなで共有しているから、話が尽きないですよね。同じタイミングでボトルを開けているので「そろそろ開いてきた」とか、そこも共通ですしね。
ゆきお:確かに。オンライン飲み会は初めてですが、いいですねこれ。同じものを飲んでいるってだけでこんなに面白いんですね。
竹内:あれ、これオンラインなんだっけ?って、さっき一瞬思っちゃいました(笑)。みんなで飲んでる感がすごい。共通アイテムで一体感増しますよね。 
鈴木:ワインが同じでも、つまみは自由じゃないですか。それがまた話題になって、統一感と多様性のコラボがいいですね。
竹内:あとなんと言っても家にいる安心感ですよね。今ソファにいますけど何だったら寝てもいいわけだし。


<参加者全員から「コノスル飲み楽しい!」という言葉が!>


「家飲み」の時代が来る?

熊坂:オンライン飲み会も含めて「家飲み」はこれからどんどん進化していく気がしますね。
ゆきお:外食しないぶん、ワインにお金かけられますしね。家でプレミアムワインを飲む機会が増えそうな気がします。おつまみも簡単に作ったもので合わせるとか、それが日常になっていくんでしょうね。
熊坂:そうなると家で外食のような雰囲気を取り入れたいですよね。まさに「コノスル家飲みスタイル」。
竹内:「コノスル家飲みスタイル」の記事を書かせてもらっていますが、コノスルワインを適切なグラスで、料理は簡単に、でもいいお皿に盛り付けると外食感が出ます。
鈴木:小売りをやっていますが、外食と内食の間の「中食」、つまりできているものを買って家で食べる需要が今までより上がってるんですよ。中食にも2種類あって、コンビニやスーパーで買ってくるパターンと、最近多いのは、本格レストランが軒並みテイクアウトやっていますから、そこでちょっといいものを買ってくる高級中食のパターンです。今日の竹内さんがそうですよね。
コノスルはコンビニ・スーパー系でもいけるし、高級中食にも、両方いける。汎用性が高くて、間口が広い。

全員一致の「次に飲んでみたいワイン」とは?

熊坂:では最後に、次に飲んでみたいワインを聞かせてください。
竹内:赤ならカルメネール、白はゲヴュルツトラミネールが飲んでみたいです。
鈴木:僕は赤はカベルネ・ソーヴィニヨン。コノスルのカベルネは評価が高いので、まずはそれをじっくり飲んでみたいです。ビシクレタでどれくらいのランクの肉までイケるのかなと。和牛、アンガスビーフ、オージービーフなど、肉との相性も見極めたいです。
白はゲヴュルツトラミネールを飲んでみたいです。個性的な品種なのでペアリングが難しいですが、この4人ならいろいろ検証して、何に合うか発信できそうですね。
ゆきお:ゲヴュルツいいですね。あと気になるのはリースリング。ちょっと変わった白を飲んでみたいです。
熊坂:ゲヴュルツ私も興味あります。エスニックと合わせてみたい。

竹内:すみません、私もうピノ・ノワール空けちゃうかも。
一同:えーっ??
熊坂:まだ1時間しか経ってないですよ、竹内さん!

おわりに

初めて開催したオンラインのコノスル飲み会。約2時間、話が尽きることなく、家に居ながら充実したフライデーナイトを過ごすことができました。想像以上の楽しさです。終電や門限を気にすることなく、心置きなく飲めるオンライン飲み会はこれからますます広がっていくと思います。
私のオススメ3原則をご参考に、皆さんもぜひ「コノスル飲み会」やってみてくださいね。
(ただし、飲み過ぎにはくれぐれもご注意を)

この記事で紹介したワインはこちら


ビシクレタ・レゼルバ ピノ・ノワール
ビシクレタ・レゼルバ ピノ・ノワール
鮮烈なチェリー、プラム、イチゴの香りに、なめし皮やタバコのニュアンスが複雑性を与える。中庸な酸味とタンニンのバランスが良く、複雑で豊かな味わいのワイン。僅かにスパイシーな後味が楽しめる。


ビシクレタ・レゼルバ ソーヴィニヨン・ブラン
ビシクレタ・レゼルバ ソーヴィニヨン・ブラン
柑橘系の爽やかな香りやスグリ、アプリコット、リンゴのキャンディの香りがあり、微かなハーブや緑の芝の香りが印象的。品種の個性がはっきりと現れた爽快でクリアーなタイプ。骨格がしっかりとしていて和食との相性が良い。

この記事を書いた人

熊坂 仁美

くまさか ひとみ

熊坂 仁美

  • (一社)日本ソムリエ協会認定 ワインエキスパート

SNSを中心にデジタルマーケターとして10年、企業アドバイス、書籍、記事の執筆、講演等を行ってきた。数年前から趣味でワインを飲むうちにはまっていき、本格的に勉強を開始して資格を取得。次の10年は、ワインや日本酒の文化とテロワールをテーマに研究と発信を行っていく。ワインの魅力で人を動かす「ワインツーリズム」にも大きな関心を寄せている。