2020.04.01
- 知識
【知れば知るほど面白いワインの世界 Vol2】海外インフルエンサーに学ぶインスタ活用術
海外のワイン情報を紹介するワイン雑学シリーズ、第一回の「ワイン評論家」に続き、今回は、海外のワイン業界人が大好きな「Instagram」(インスタ)にスポットを当てたいと思います。海外のワインピーポーはどんなふうにインスタを使っているのでしょうか。
1,なぜワイン業界人はインスタを使うのか
10年前からソーシャルメディアの仕事をしていますが、インスタほど成長目覚ましいサービスはそうはありません。利用者数はぐんぐん伸び、御大Facebookの25億人にはかなわないものの先輩Twitterの3億人を軽く抜き去り、今や世界で10億人が使う巨大プラットフォームに成長しました。日本でも「インスタ映え」が流行語になったこともあり、2019年にはついに月間利用者数がFacebookを超え、3300万人となっています。(※)
インスタの魅力は、なんといっても言葉の壁がないこと。FacebookもTwitterも理論的には世界とつながっていますが、日本語を使っている限り日本人にしか見られません。その点、写真でコミュニケーションをするインスタは、言葉に頼らない「一目瞭然」の世界。国をまたいでのビジネス展開やコミュニティ作りをしたい人には最適です。さらに、ハッシュタグを使うことで文字でも検索してもらえるので、自分のテーマに関心を持つ人を集めやすい性質を持っています。
世界中にワインを売りたいワインブランド(ワイナリー)がこれを使わない手はなく、実際、ワインブランドはかなりの高確率でインスタを使っています。試しに思いつくワインブランドの名前をインスタ内の検索窓に入れてみて下さい。そのブランドの公式ページが検索結果のトップに出てくるはずです。
我らがコノスルでやってみましょう。「conosur」と検索窓に入れると、いくつか候補が出てきます。青い認証マークのついた「conosurvineyards」が出てくると思います。それがチリ本国の公式アカウントです。どんな投稿をしているか見てみましょう。
まず、プロフィール欄にはスペイン語で”Viña chilena sustentable. Líder en Pinot Noir.”(サステナブルなチリのブドウ畑。ピノ・ノワールのリーダー)というメッセージ。短い言葉の中に「サステナブル」「チリ」「ピノノワール」というコノスルワインのアピールポイントが入っています。
投稿は、コノスルのシンボルである自転車、サステナブルを象徴するガチョウ、パーティシーンなど、コノスルの世界観を表す写真が並んでいます。
フォローをすると、自分のフィードに投稿が流れてくるので、好きなワインブランドの最新情報を見ることができます。
先日、こんなことがありました。コノスルワインの写真を撮って自分のインスタにアップし、@ conosurvineyards をタグづけしてみたのです。すぐに「Cheers from Chile (チリからこんにちは)」とコメントをもらいました。うれしくなって「Love conosur wines(コノスル大好きです)」と返したところ、「Thank you. That’s so great to hear!(ありがとう。そういってもらってすごくうれしいです!)」とまた返しがありました。
ごく簡単な会話ですが、ワイナリーと直接やりとりできるって楽しいですよね。投稿へのタグづけは「あなたたちのワインを飲んでますよ!」というアピールになります。タイミングやそのアカウントのポリシーにもよりますが、単なるコメントよりレスをもらいやすくなるようです。ぜひやってみてくださいね。
2,ボトルの写真を投稿するだけでサマになる!
インスタを使っているのはワインブランドだけではありません。インポーター、ワインショップ、ワインバー、ワインスクール、エデュケーター、メディア、ブロガーなど、ワイン業界には様々なプレイヤーがいますが、その多くがインスタを使っています。タグづけも頻繁に行われ、お互いの交流も盛んです。まるでインスタの中にワインワールドがすっぽり入っているかのようです。
もちろん、一般のワイン愛好家のアカウントもたくさんあります。日本のワイン愛好家はワイン以外の投稿も入れる人が多いのに対し、海外ユーザーはワインをテーマにしたらワインのことしか投稿しないという傾向があります。でもそれは理にかなっていて、Facebookと違ってインスタは、「テーマ」を決めて投稿するほうが効果的。そのほうがフォロワー(仲間)を集めやすくなるからです。
ワインの投稿は簡単です。エチケット(ラベル)にたくさん情報があるので、ボトルやラベルの写真を投稿するだけでもいいのです。たとえばこの方のように、ひたすらエチケットだけを写真に撮って投稿している人もよく見かけます。シンプルですが、こんなふうに同じ角度でぴったりそろえると統一感があってきれいに見えますね。
3,インスタを上手に使っているアカウントは?
海外には上級者の「インスタ使い」がたくさん。その中からインスタのメリットを活かした使い方をしているお手本的アカウントをいくつか紹介したいと思います。
マスターソムリエが選ぶワイン頒布会サービス「Somm Select」
毎月定額でワインを届ける「ワインクラブ」、いわゆる頒布会サービスは、特にアメリカでよく見かけます。「Somm Select(ソムセレクト)」もそのひとつ。マスターソムリエであるイアン・コーブル氏が運営しています。マスター・オブ・ワインと同様、超難関と言われるマスターソムリエ試験に挑戦する若者達を描いたドキュメンタリー映画「Somm(ソム) 」に出演していたコーブル氏が合格後すぐに始めたサービスなのです。劇場公開だけでなくNetflixでも配信されたこの映画のおかげでコーブル氏は有名人となり、個人インスタのフォロワーは2万人以上に。その知名度を活かし、世界中のワイナリーを飛び回ってワインを仕入れている様子を投稿してビジネスにつなげています。
ニューヨークのワインショップ「Wine Library」
ソーシャルメディアのカリスマ、ゲイリー・ベイナーチャック氏のニューヨークにあるワインショップ「Wine Library(ワインライブラリー)」。ベイナーチャック氏がショップから動画でワインを紹介していたワイン番組は、ソーシャルメディアマーケティングの先駆けとして有名でしたが、インスタでも動画が中心です。ショップの店員さんたちが売り場からスマホで実況中継的に発信をしています。店員さんによって個性がいろいろで、まるでキャラを競っているかのようです。
こちらの投稿は一日のみのセール「Leap Year Sale(うるう年セール)」を店員さんが身体を使って告知している様子。アピール度が高くて、近所なら思わず行きたくなりますね。
グラフィックデザイナーが運営する教育系インスタ「Wine Folly」
ワインを勉強している方ならこのイラストを見たことがある方も多いのではないでしょうか。日本でも発売されたベストセラー「Wine Folly(ワインフォリー)」(邦題『The WINE ワインを愛する人のスタンダード&テイスティングガイド』)の著者マデリーン・パケットさんはソムリエでありグラフィックデザイナー。複雑なワインの世界をわかりやすくカラフルに図解化したコンテンツで人気ブロガーになり、本を出版しました。最近ではワインユーチューバーとしても活躍しています。フランスやイタリアなどワインの生産地のイラスト地図はインテリアとしてもニーズがあり、商品化して販売しています。
4,「ワインインスタグラマー」という存在
さて、「インスタ映え」とともに「インスタグラマー」という言葉も流行りました。フォロワーが多く影響力のある個人インスタグラマーは「インフルエンサー」と呼ばれ、ワインの世界にもたくさん存在します。中でも目立っているのが「wine.gini」こと、Georgia Panagopoulou(ジョージア・パナゴポウロー)さん。
ジョージアさんはギリシャ出身の29歳。エキゾチックな顔立ち、楽しそうな表情、世界30カ国を回ったという行動派で、ブドウ畑、ワイナリーの中、ワインショップなど様々な場所から投稿。必ずワイングラスを持っている「ワインキャラ」を自己演出して人気を博し、フォロワーはまもなく10万人。ワインインスタグラマーの中ではトップ10に入ります。
投稿を見ると企業案件らしき投稿が時々見られますが、いかにも宣伝という感じはなくとても自然です。この自然さがインスタでは重要で、宣伝くさいとファンが離れてしまうのです。このあたりのさじ加減がミレニアル世代を代表するインフルエンサーとしての彼女の成功の秘訣なのでしょう。
ジョージアさんはとてもオープンで、時々、インスタのコツを教えてくれたりします。例えばつい先日もこんな投稿を。
「マーケティングキャンペーンを成功させたいのなら、写真のクオリティを上げることに集中してください。すぐに効果が出ます。ワインはフォトジェニックなテーマで、セクシーなコンテンツが作れます。個人でもビジネスでも新しいアカウントを作るとき、フォトグラファーを雇う予算がないのだとしたら、まずはカメラに投資することです。デジカメでもスマホでもかまいません。なにもプロみたいになる必要はないのです。ちょっとしたコツで「映え」るんですよ。オンラインで学べる写真講座や、写真編集アプリを活用するのもいいでしょう。無料のものもありますよ」
5,新商品「クール・レッド」のインスタ映えに挑戦!
ということで、カメラはあまり得意ではない私ですが、「インスタ映え」に挑戦してみることに。発売したばかりの「コノスル ピノ・ノワール ビシクレタ クールレッド」をiPhone10で撮影してみました。
立てたり手持ちしたり上から撮ったりといろいろやってみましたが、このクール・レッド、ボトルがカッコいいのでどう撮ってもサマになります。特にボトル上部のエンボス加工した自転車が映えます。まさにインスタ向きのワイン。
撮影後、さっそく冷やして飲んでみました。
いやこれ、美味しい♪
ボトルに気を取られて忘れていましたが、ブドウはピノ・ノワールなんですよね。ピノらしい果実味がありながら主張しすぎず、酸もタンニンも抑えめなので、さらりと飲めます。「ヘルシー系の料理に合いそう」というのが第一印象でした。野菜がたっぷり入ったトルティーヤなんかぴったりかも。
同じピノ・ノワールでも前回飲んだ「レゼルバ・エスペシャル」とはまた違う味わい。いろんな味わいのワインを作れるのがコノスルのすごいところです。
デザインよし、味よし、話題性あり。家飲みでも気持ちが上がりますが、持ち寄りパーティなどに持っていったら喜ばれると思います。
インスタ向きのワイン、クールレッド。ぜひ、買って撮って飲んで、そしてインスタ投稿もやってみてくださいね。
その際には「#thecoolred」または「#クールレッド」のハッシュタグもお忘れなく。
日本のコノスル公式アカウントもぜひフォローお願いします。
▶コノスルジャパン公式Instagram
https://www.instagram.com/cono_sur_japan/
コノスルラヴァーズのインスタもありますよ。こちらもフォロー、プリーズ!
▶コノスルラヴァーズ公式Instagram
https://www.instagram.com/conosurlovers.official/
この記事で紹介したワインはこちら
ピノ・ノワール ビシクレタ クールレッド
コノスルの“冷やして美味しい”赤ワイン。チェリー、ブラックベリー、プラムのフレッシュな果実香が心地よく、心と体をクールダウンしてくれるワイン。温度は12〜14℃がおすすめ。冷却に必要な時間(目安)は冷蔵庫で2時間、冷凍庫で15分、氷水で5分。
この記事を書いた人
くまさか ひとみ
熊坂 仁美
- (一社)日本ソムリエ協会認定 ワインエキスパート
- (一社)日本ソムリエ協会 SAKE DIPLOMA
- WSET SAKE LEVEL3
- WSET Level3
SNSを中心にデジタルマーケターとして10年、企業アドバイス、書籍、記事の執筆、講演等を行ってきた。数年前から趣味でワインを飲むうちにはまっていき、本格的に勉強を開始して資格を取得。次の10年は、ワインや日本酒の文化とテロワールをテーマに研究と発信を行っていく。ワインの魅力で人を動かす「ワインツーリズム」にも大きな関心を寄せている。