2020.10.05
- 楽しみ方
【コノスル家飲みスタイル Vol6】 食欲の秋、注目のウルグアイビーフ×コノスルの赤で南米ペアリング!
朝晩の冷え込みに秋の訪れを感じつつ、日ごと長くなる夜の時間。赤ワインが恋しい季節になりましたね。秋といえば実りの秋、食欲の秋です。こうなるとやっぱり、赤ワインと楽しみたいのがお肉!戸外でのバーベキュースタイルもいいけど、今回は、家の中でゆっくりと、お肉と赤ワインの美味しさを直球で堪能するステーキと合わせます。しかも、ただのペアリングではありません。今、注目のウルグアイビーフを使ったチリ×ウルグアイの南米ペアリングをお届けします。
1. 今、注目のウルグアイビーフ!
ビーフといえば、国産、オージー、US産などが市場によく出回っていますが、今回用意したのはウルグアイ産のサーロイン。実は今、ヘルシーなお肉として密かに注目を集めています。
南米が牛肉消費量世界一位の地域で、中でもウルグアイは一人当たりの牛肉の年間消費量が約60kgにもなるともいわれる牛肉大国です。特に魅力的なのは、ジューシーな赤身の美味しさ。しかし、これまでウルグアイ産ビーフの輸入ができなかったのですが、2019年2月に19年ぶりに解禁となり、それに合わせて有名レストランチェーン店ではこぞってウルグアイビーフのメニューを発売しています。
ウルグアイビーフの美味しさは、飼育環境にあります。ウルグアイは国土の約90%近くが草原。その広大な草原を活かし、ストレスフリーな環境での放牧飼育が盛んです。また南半球では、イネ科の牧草「ライグラス」の栄養価が高まり、その牧草で育った牛の肉は旨味が強くなるそうです。またウルグアイでは、成長ホルモン剤を使用しません。そのため、サイズ感はオージーやアメリカ産に比べて3割ほど小ぶりなのですが、グラスフェッドビーフ(牧草主体で飼育された牛)なので、牛の品質が良く、安全面でも高い評価を得ています。
駐日ウルグアイ大使のセサル フェレール氏も『成長ホルモンを使用しない、自然環境の下で育てた「グラスフェッドビーフ ( 牧草飼育牛 ) 」は安全で、赤身が多く高タンパク質でありながら低カロリーでヘルシーなお肉』と太鼓判を押しています。
ヘルシーで安全。そんなキーワードに弱い肉好き女子にもうってつけです。そこで今回は思い切ってポンド(約450g)ステーキに挑戦してみました。
入手方法ですが、ネットで「ウルグアイビーフ」と検索するといくつもの販売業者がヒットします。お好みのグラムや部位を購入できます。
「成長促進剤不使用」と記載されています。
お肉を解凍し、筋を取り、塩コショウをします。ステーキですから、この後は焼くだけなのですが、ここからさらにもうひと工夫して、プロ仕様のワンランク上のステーキに仕上げていきます。
2. ガジェットにもこだわって、ワンランク上の肉料理を!
おうち時間を楽しむ意味でも、ガジェットにもこだわってみましょう。最新の調理器具は、本当にスグレモノが多く、感心するばかりです。手軽に本格的な料理に様変わりしますから使わない手はありません。そこで、2つの調理器具を使いました。1つは真空パック器。これは、調理したものを保存する場合にもとても便利ですが、今回はお肉を低温調理するために使用しました。
塩コショウしたお肉を真空パックします。専用の袋にお肉を入れ、ボタンを押します。
あっという間に空気が抜け上部がシーリングされ、真空状態に。
そして、低温調理器です。お肉の厚さや重量で調理する時間が変わりますが、厚さ約3㎝、約450gのお肉ということで、58℃、1時間の設定です。設定温度になった鍋に真空パックのお肉を入れます。この間に付け合わせのお野菜や副菜などを用意しましょう。もちろんワインの用意も忘れずに。
低温調理で予め火を通しておくことで、厚みのあるお肉でも生焼けになったり、焼きすぎたりということを防いでくれます。また、低温調理したお肉は柔らかく、すっとナイフがはいる仕上がりに。つまり、失敗がなく、誰にでもプロの技が再現できます。
設定した時間になったら、鍋からお肉を引き上げます。
フラパンを熱し、低温調理したお肉を2〜3分、表面に焼き色がつく程度に焼きます。
ここでちょっと贅沢な一工夫。シングルヴィンヤード「8グレープス」を肉汁に加えてソースにします。他に醤油、砂糖、バルサミコを入れて味を調えます。
アツアツの鉄板に乗せて、出来上がり。
うーん、いい厚みです!!これがフライパン調理だと中まで火を通すのは難しいですが、低温調理だから簡単。
3.家飲みスタイルの新境地、南米の風を感じるペアリング
さて、お待ちかねのペアリングです。今回、合わせる赤ワインは、2種。シングルヴィンヤード「シラー」と「8グレープス」です。
まず、合わせてみたのは定番の「シラー」です。外観は鮮やかな濃いルビーレッドで、香りはプラムやラズベリー、ブラックベリーのような凝縮された果実のアロマに、余韻には鼻から抜けるコショウのようなスパイシーさがあります。一口含むと、程よい酸と緻密なタンニンでシラーの力強さの中もエレガントさが感じられます。
そしてなんと、この記事を書いているさなかに、シングルヴィンヤードシラー2018が、2020年の「デカンター・ワールド・ワイン・アワード」(※)で97点&プラチナメダルを獲得したというニュースが飛び込んできました!
世界的に高い評価を受けた特別なシラー。もうこの時点で食べなくてもお肉に合うのはわかってます!という感じです。
お肉の旨味とシラーのスパイシーさが奏でる美味しさはもう圧巻。特にシングルヴィンヤード「シラー」はアルコール度数14.0%のフルボディでも、重たすぎないエレガントさが、このウルグアイのグラスフェッドビーフにとても合います。いくらでも食べられそうです。
ちなみに、シングルヴィンヤード「シラー」は選果・除梗後、コールド・マセレーションを行い、オープントップタンクにて発酵。定期的にピジャージュを行うことで香味成分や色素を抽出。その後、フレンチオーク樽で15ヶ月熟成。ステンレスタンクで1ヶ月熟成しているので、このようなスタイルが実現しているのだと思います。
次は、同じくシングルヴィンヤードの「8グレープス」です。「8グレープス」は名前の通り、8種類のブドウ品種を使用しています。カべルネ・ソーヴィニヨンを主体に、マルベック、グルナッシュ・ノワール、カリニャン、カルメネール、プティ・ヴェルド、プティ・シラー、ムールヴェードルです。
色調は紫がかった深みのあるルビーで、とてもきれい。香りは、グラスに注いだ瞬間、ふわっとブラックチェリーやカシスの甘い果実の香りを感じましたが、少しスワリングすると、ピーマンやミント、スギなどのスーッとした清涼感が漂います。味わいは、ややフレッシュな果実味と酸味が感じられ、先ほどのシラーよりも溌剌としており、ふくよかでボリューム感があります。タンニンはよく溶け込んだ印象でスムースな飲み心地です。
8つのブドウの比率やテクスチャーをどうやって決めているかと不思議に思いますが、製法としては、除梗後、8℃でコールド・マセレーションを4日間施し、アルコール発酵はステンレスタンクで8日間行い、その後マロラクティック発酵しているそうです。さらに、ステンレスタンクで1ヶ月、フレンチオーク樽100%で16ヶ月熟成しているとか。何とも手が込んでいます。
本当にそれぞれの品種が織り成すハーモニーが素晴らしく、時間の経過と共に楽しめる味わいとはまさに。美味しくて、ワイン単体でもずーっと飲んでいられそうです。
私としては、果実味が豊かで少し甘いニュアンスがある「8グレープス」は赤ワインやバルサミコを使ったソースを付けていただくステーキに。よりスパイシーでエレガントなシングルヴィンヤード「シラー」は塩コショウでシンプルに食べるスタイルがベストマッチでした。
低温調理したウルグアイビーフは、柔らかく臭みがなく、それでいて肉のうまみをしっかり感じられ、どちらのワインも十分に楽しめました。
今回、南米同士のペアリングでしたが、ワインにもビーフにも共通した印象は、とてもクリーンでエレガントだということでした。最初はガツンと肉料理と意気込んでいましたが、ペアリングしてみると、とってもナチュラルでヘルシーな印象でした。
我が家にも自然豊かな南米の風が吹いたような様な気がしました。南米ペアリング、ちょっと癖になりそうです。
※「デカンター・ワールド・ワイン・アワード」
イギリスの有名ワイン専門誌「デカンター」が主催する、世界的に有名なワイン審査会。56カ国から審査された16,518本のワインのうち、24カ国からわずか178本(全体のわずか1.08%)がプラチナメダルを受賞しました。
プラチナメダルについてはこちらをご参照下さい。
https://www.decanter.com/decanter-world-wine-awards/dwwa-2020-platinum-wines-the-97-point-medal-winners-444802/
この記事で紹介したワインはこちら
シングルヴィンヤード シラー
カンポ・リンド葡萄園の第25区画「ラ・パルマ La Palma(=ヤシの木)」の葡萄を使用。冷涼な場所で育てられた葡萄をオープントップタンクで発酵。シラーの力強さがありながらも、程よい酸味、まろやかなタンニンが感じられるエレガントなスタイル。
シングルヴィンヤード 8グレープス
8品種をブレンドした、コノスルの全く新しいコンセプトのワイン。それぞれの品種が織り成すハーモニーが素晴らしく、時間の経過と共に楽しめる。
この記事を書いた人
たけうち あけみ
竹内 綾恵美
- (一社)日本ソムリエ協会認定 ワインエキスパート
- SAKURAアワード2024 審査員
料理が大好きで、国内外問わず、旅先では必ず市場を訪れる。ワインに出会い、味わいはもちろんのことワイン文化の奥深さに魅了される。
2019年にワインエキスパート取得し、ワインと食の追求に邁進する日々。