2020.11.13
- 楽しみ方
【コノスル家飲みスタイル Vol8】 秋の夜長はスイーツペアリングでまったり&贅沢におうち時間を<後編>
今回はスイーツペアリング後編です。
きっとみなさんも大好きなあの王道スイーツが登場します。
では、さらなるワインとスイーツの可能性を探っていきましょう。
1. 映画のワンシーンに登場する、あのペアリングをヒントに
ワインは、しばしば映画のワンシーンでも重要な役割を果たします。特に有名なのは1999年に公開された「プリティ・ウーマン」ではないでしょうか。
リチャードギア扮する実業家のエドワードがコールガールのビビアン(ジュリア・ロバーツ)と出会います。エドワードはビビアンに上流階級のパーティーにカップルとして参加し、彼のビジネスがうまくいくようサポートを依頼します。ビジネスパートナーとして契約した二人がいつしか本当のカップルになるというストーリーです。
二人が出会った日、スイートルームでシャンパンを呑むビビアンにエドワードが苺を差し出す有名なシーンがあります。
すると、ビビアンはこう尋ねます。
「どうして苺なの?」
「苺を食べると、シャンパンの味が引き立つから」とエドワード。
このシーンは、まだワインを知らなかった高校生の私にはとても印象的で、“シャンパンには苺“とそのとき鮮明に焼き付けられました。
そこで、今回はスパークリングの「ブリュット」と「ロゼ」を苺のスイーツに合わせてみました。
2. スイーツの王道、ショートケーキに合うワインは?
苺のスイーツといえば、ショートケーキですよね。スポンジに生クリームとスライスした苺がサンドしてあり、トップにはコロンとした苺が乗っているケーキの王道です。
ご存じの方も多いかもしれませんが、ショートケーキは日本が発祥のスイーツ。スポンジケーキ+ホイップクリーム+苺のスタイルを広めたのは、ペコちゃんでお馴染みの老舗菓子メーカーらしいのですが、今では世界でも認知され、“Japanese (style) Strawberry Shortcake”などと呼ばれているとか。
そんな国民的アイドルの苺のショートケーキに、これまた華やかな泡を合わせるという女子ウケ必至のペアリングです。
まずは、ブリュットから。口に含んだ瞬間、フレッシュでミネラルに溢れた味わいと、二次発酵によって生まれる酵母やハチミツなどのニュアンスを感じますね。とってもフレンドリーでこのままどんどんいってしまいそうですが、そこを抑えて、ショートケーキを一口。生クリームのやわらかな甘さと親和性があるものの、思ったほどではなく。
苺の部分と一緒に食べると、苺の酸味とブリュットのしっかりとした酸が類似して美味しいのですがショートケーキ全体となると、ベストとは言えない印象でした。ブリュットはシャルドネが95 %、ピノ・ノワール5 %で、シャルドネは30%をフレンチオークの新樽で樽発酵しているので、生クリームの軽さに対して重く感じてしまったのかもかもしれません。
では、ロゼ・スパークリングはいかがでしょうか。
飲む前に、これは絶対合うと確信しました。だってもう、香りの時点で赤系果実、苺を感じました。それもそのはず、ロゼ・スパークリングはピノ・ノワール100%で、苺やブルーベリーのような優しい果実味と豊かな酸味が特徴のスパークリングです。また余韻にも柔らかな果実の甘みが残り、ショートケーキの甘さとちょうどいいバランスです。これ、美味しいですね。
さらに淡いロゼ色がなんともかわいらしいです。このペアリングは絶対おすすめ。見た目もキュートで華やかですし、お誕生日やクリスマスにもいい組み合わせですね。
3. 決め手は酸と甘みのバランス
このほか、苺以外のフルーツをふんだんに使ったロールケーキなども合わせてみました。
秋の果物、柿や梨などになるとスパークリングよりも、前編でご紹介したレイト・リースリングの方が良いように感じました。
結果的に酸味があるフルーツの方がスパークリングには合うようです。またカスタードを使ったスイーツなどもレイト・リースリングとは好相性でした。それと、チョコ系とスパークリングは程よく合い、さらにベリー系のソースやショコラオンレジのように酸味のあるフルーツをミックスしたチョコ系スイーツにもスパークリングは良く合いました。
酸と甘みのバランスはワインにとって重要な要素ですが、スイーツとペアリングする上でもこのバランスは非常に大切だということが良くわかりました。
まだまだチャレンジしたいスイーツペアリングですが、それはまた次の機会に。
スイーツペアリングは、テンションアップ間違いなしなので、おうち時間を楽しむお供としてぜひ、お試しください。
この記事で紹介したワインはこちら
スパークリング ブリュット
チリ南部、ビオビオ・ヴァレーの冷涼な気候と赤粘土質土壌に育まれた葡萄を厳選。製法はシャルマ方式。テロワール由来のフレッシュでミネラルに溢れた味わいと、二次発酵によって生まれる酵母やハチミツなどのニュアンスを楽しむことが出来る。
スパークリング ロゼ
チリ南部、冷涼なビオビオ・ヴァレー産の葡萄を厳選して使用。シャルマ方式。イチゴやブルーベリーのような優しい果実味と豊かな酸味が感じられ、微かに感じられる心地よい渋みがボディにふくよかさを与えている。余韻にも柔らかな果実の甘みが残る。
この記事を書いた人
たけうち あけみ
竹内 綾恵美
- (一社)日本ソムリエ協会認定 ワインエキスパート
- SAKURAアワード2024 審査員
料理が大好きで、国内外問わず、旅先では必ず市場を訪れる。ワインに出会い、味わいはもちろんのことワイン文化の奥深さに魅了される。
2019年にワインエキスパート取得し、ワインと食の追求に邁進する日々。