2021.02.24
- 知識
【ブドウ品種に詳しくなろう!】Vol.4「爽やかな香りの白ブドウ」ソーヴィニヨン・ブラン
気温が上がってくると冷えた白ワインが飲みたくなりますね。「冷えた白ワイン」に求めるのは、やはり「爽やかな香り」や「すっきりした酸味」ではないでしょうか。今回ご紹介する「ソーヴィニヨン・ブラン」は、その両方を持ち合わせているワインです。
1. ソーヴィニヨン・ブランってどんなブドウ?
■人気のアロマティック品種
ソーヴィニヨン・ブランは、数ある白品種の中でもシャルドネに次いで人気が高いワインです。
しかしその特徴はシャルドネとは大きく異なります。白ブドウには、あまり香りが強くない「ニュートラル品種」そして香りが強い「アロマティック品種」の大きく二つに分かれます。ニュートラル品種の代表格がシャルドネならソーヴィニヨン・ブランはアロマティック品種の代表格と言えます。
ソーヴィニヨン・ブランは、青草、ハーブ、緑の野菜や柑橘系フルーツなどのグリーン系のアロマが大きな特徴。そのためシャープな酸味や新鮮さを楽しむスタイルが多く、ボルドーなどのごく限られた地域を除いて樽による熟成も行いません。またボルドーでは伝統的にセミヨンとブレンドしていますが、ほとんどの場合単品種として作られる品種です。
ソーヴィニヨン・ブランは気候によって香りの印象が大きく異なる品種です。成熟が早いため冷涼な気候で栽培するのに適しており、暖かすぎる気候だと活発化しすぎて本来のグリーン系のアロマがなくなってしまう傾向があります。
ソーヴィニヨン・ブランのアロマは、リンゴなど緑色系果実やレモン、ライムの柑橘類の風味、アスパラガス、湿った小石の香り、エルダーフラワー(白い花)、グレープフルーツ、草の香りなどが上げられます。
代表的な産地は、フランスのロワール地方、ニュージーランドのマルボロ、オーストラリアのアデレードヒルズ、チリのカサブランカ・ヴァレーなどが高い評価を受けています。
■「ソーヴィニヨン・ブラン」の特徴まとめ
1.アロマティックな白ワインの代表格
2.柑橘、ハーブ、緑の野菜のアロマ
3.若くて新鮮なうちに飲むスタイルが主流
4.あまりオーク樽は使われない
2. コノスルのソーヴィニヨン・ブラン
■ソーヴィニヨン・ブランの栽培に適したカサブランカ・ヴァレー
チリで最も生産量が多いのがカベルネ・ソーヴィニヨンですが、ソーヴィニヨン・ブランはそれに次ぐ栽培面積があります。
チリのブドウ栽培地域の中でも最も冷涼なブドウ畑のひとつであるカサブランカ・ヴァレーがソーヴィニヨン・ブランの栽培に適しています。寒流のフンボルト海流が流れる太平洋から近い場所にあり、中央部の産地と比べると気温は3℃ほど低くなるためです。
冷たい海風が吹き、海上で発生した毎朝立ち込める霧でブドウがゆっくりと熟し、また霧にごく微量に含まれた海の塩分がブドウの葉や身に残るため、ワインからはかすかに塩分とミネラル感を感じることができます。
3. ソーヴィニヨン・ブランに合う料理は?
イギリスのThe Guardian(ザ・ガーディアン)のライターであり、フードペアリングの専門家のフィオナ・ベケット氏がおすすめするソーヴィニヨン・ブランに合うフードは、
・オイルサーディンなどの油を使った魚料理
・ガーリックとレモンをきかせた大きめの海老やイカ
・グリルチキンやラム(あまり強くマリネードしていないもの)
とのこと。
また、エスニック系ではギリシャ料理やメキシカン料理 アボカド、トマト、玉葱、オリーブ、アーティチョーク、フェタチーズやハーブ入りチーズなどが入ったものが合うとのことです。
4. ソーヴィニヨン・ブラン2種をテイスティング
コノスルのソーヴィニヨン・ブランはオーガニックを含め5種類のラインアップがありますが、今回は「レゼルバ・エスペシャル」と「20バレル」のシリーズをご紹介します。
20バレルはカサブランカ・ヴァレーの中でも最も冷涼で、コノスルの高級ラインのブドウを栽培している「エル・センティネラ農園」のブドウを100%、レゼルバ・エスペシャルは20%使っています。
コノスルのソーヴィニヨン・ブランの魅力は、なんと言ってもそのすっきりとした飲みやすさです。
グラスに鼻を近づけた段階でライムやグレープフルーツの柑橘系のさわやかなアロマが香り、アタックではミネラルも十分に感じます。
さらにアルコール度数が両方とも12%〜13%とほかの品種に比べて低いため、スパークリングワインのような感覚でライトに飲むことができます。食事のスタートに「まずは冷えた白ワイン」という要求を十分に満たしてくれるワインと言えるでしょう。
特にプレミアムラインの20バレルは、果実味もミネラリティも洗練されており、身体にすっと入っていく感じがします。
今回合わせたフードはトマトとアボカドにチェダチーズを少し入れた塩麹ドレッシングのサラダと、キノコと豚肉のグリルを用意しました。
野菜中心のヘルシーな2品ですが、特にトマトとアボカドのサラダはソーヴィニヨン・ブランと抜群の相性です。トマトそしてドレッシングの酸味にアボカドが溶け込んだクリーミーなテクスチャーとチーズによる複雑味を楽しむサラダなのですが、コノスルのソーヴィニヨン・ブランの酸味とミネラリティが織りなす豊かな味わいがそれをより引き立ててくれます。
こういった素材を活かした野菜料理とソーヴィニヨン・ブランの組み合わせは、デイリーな家族での食事はもちろん、おもてなしにも喜んでいただけそうです。
5. ソーヴィニヨン・ブラン、何度で飲めばいい?
どのワインもそうですが、フレッシュさを楽しむソーヴィニヨン・ブランは特に供出温度が重要です。室温のものと冷やしたものとでは明らかに味わいが違います。
辛口白ワインの適温は一般的に6度から12度と言われていますが、実際はどうなのでしょうか。実験をしてみました。
ワインの温度を測るのは、スーパーの家庭用品コーナーなどで数百円で売られている料理用温度計が便利です。ふだんワインの温度まで測ることはないと思いますが、実は温度によって味わいがかなり変わってきますので、自分のお気に入りワインの適温を知るためにも測ってみることをオススメします。
冷蔵庫に入れておくとワインはだいたい5度ぐらいになります。それだと少し低すぎるので、しばらく置いて、8度から9度ぐらいがこのワインのフレッシュさが引き出されます。
コノスルラヴァーズに掲載されている商品別の適温では、レゼルバ・エスペシャルは7度から11度、20バレルは8度から10度とあります。つまり11度を超えると温度が高すぎて、場合によっては味わいがぼんやりしてしまう可能性があります。
なので、ソーヴィニヨン・ブランは購入したら冷蔵庫で冷やし、飲む少し前に冷蔵庫から出しておくのがオススメです。そして食事中にも適温を保ちながら楽しみたいところ。
特に鍋料理などをする場合は注意が必要で、火の近くに置くとすぐに温度が上がりあっという間に温かくなってしまいます。
ワインクーラーに入れておくか、ない場合は面倒でもこまめに冷蔵庫に入れるようにすると、食事の間中さわやかな味わいを楽しむことができます。
寒さがゆるみ、暖かさを感じる日も増えてきました。そんなとき、適温に冷やしたソーヴィニヨン・ブランを食事のおともに選んでみて下さい。きっと春の訪れを身体全体で感じることができることと思います。
<参考記事>
https://www.matchingfoodandwine.com/news/pairings/best-food-pairings-for-sauvignon-blanc/
<参考文献>
“The World Atlas of Wine 8th edition” Hugh Johnson & Jancis Robinson
日本ソムリエ協会 2020教本
WSETワインレベル2、レベル3教本
『ワインテイスティングバイブル』 谷宣英著 ナツメ社
この記事で紹介したワインはこちら
レゼルバ・エスペシャル “ヴァレー・コレクション” ソーヴィニヨン・ブラン
ステンレスタンクで5ヶ月熟成。ライムやグレープフルーツなど柑橘系の果実香に、白い花のニュアンスとミネラルのヒントが感じられる。ミネラル分豊富で、フレッシュでエレガント。デリケートで瑞々しく、バランスの良い味わい。
20バレル・リミテッド・エディション ソーヴィニヨン・ブラン
柑橘系の果実香、ミネラル香、柔らかでフレッシュなハーブの香り。凝縮感のある果実味、洗練度の高いクリーンな酸味があり、爽やかで上品な味わい。
この記事を書いた人
くまさか ひとみ
熊坂 仁美
- (一社)日本ソムリエ協会認定 ワインエキスパート
- (一社)日本ソムリエ協会 SAKE DIPLOMA
- WSET SAKE LEVEL3
- WSET Level3
SNSを中心にデジタルマーケターとして10年、企業アドバイス、書籍、記事の執筆、講演等を行ってきた。数年前から趣味でワインを飲むうちにはまっていき、本格的に勉強を開始して資格を取得。次の10年は、ワインや日本酒の文化とテロワールをテーマに研究と発信を行っていく。ワインの魅力で人を動かす「ワインツーリズム」にも大きな関心を寄せている。