2021.11.02

  • 楽しみ方

厳選!深まる秋に楽しみたい「芋、栗、カボチャ」と相性のいい赤ワイン


ここ数日、一気に気温が下がり思わずニットをクローゼットから引っ張り出したところですが、秋の深まりと共に少しボリュームのあるワインが美味しい恋しい季節になりましたね。夜の時間が長くなり、抜栓後のワインの変化を楽しみながらワインをゆっくり味わう・・・。今回は、そんな楽しみ方が似合う秋にぴったりなペアリングをお伝えしたいと思います。

秋の深まるこの時期だからこそ、飲んで欲しい赤ワイン3本

さつま芋や栗など秋の味覚も少しボリューム感のある食材に季節が移ってきました。それに呼応するようにワインも冷えたものより常温くらいのワインがしっくりきます。ここ数日の気温を見ても15℃~18℃で、これは赤ワインの飲み頃の温度帯と一致します。つまり常温で赤ワインが美味しく飲めるタイミングにあるということです。



そこで今回はさつま芋や栗、かぼちゃなどを使ったお料理とそれに合う赤ワインを3本セレクトしました。ワインの傾向としては、全体的に丸みがあり果実感とタンニンのバランスがよく、フルボディであってもそこまで重たく感じないタイプの赤ワインです。それではお料理と合わせてご紹介して参りましょう。

芋、栗、かぼちゃを使ったワインに合うお料理

まず1本目はシングルヴィンヤードシリーズ 8グレープスです。シングルヴィンヤードシリーズは、その名の通り、単一の圃場で栽培されたブドウでつくられたワインシリーズです。8グレープスはアコンカグア・ヴァレーのアンデス側にある「エル・エンカント葡萄園」で栽培する黒葡萄8品種をブレンドしてつくられています。



エル・エンカント葡萄園は、標高800m~1100mに位置し、土壌はミネラルを豊富に含む崩積土壌です。日照量が豊富で乾燥しており、朝晩の気温差が激しいため、葡萄がゆっくり熟すことができるので黒葡萄品種の栽培には理想的な環境です。



8種類のブドウとは、カべルネ・ソーヴィニヨン、マルベック、グルナッシュ、カリニャン、カルメネール、 プティ・ヴェルド、プティ・シラー、ムールヴェードル。



プラムやベリーなどの香りにリコリスやモカの香りが上手く調和しており、凝縮されたボリュームのある味わいが特徴です。柔らかく滑らかなタンニンで、優雅で丸みを帯びたワインです。さて、このワインにおススメなのが、「りんごとさつま芋のポークソテー」です。



角切りにしたりんごとさつま芋をバターで炒め、砂糖、塩、水で煮詰めます。軽く塩コショウしソテーした豚肉にりんごとさつま芋のソースを添えるだけのお手軽な一品。



りんごの甘酸っぱさとさつま芋の甘さが8グレープスの果実感と合いますし、豚肉との相性も良好です。一般的に、豚肉は焼くと白っぽく見えることから白身肉といわれ、ペアリングのセオリーでは白ワインが合うと言われています。ところが、この8グレープスは、お肉であれば牛肉のような赤身肉でも、鶏肉や豚肉のような白身肉でもどちらもOK。上手に受け止めてくれます。この許容範囲の広さは家庭で楽しむにはとっても重宝。ワイン自体には適度なボリュームがありつつも、お料理と合わせるとふわっと軽く感じる、そんなワインなんです。



2本目は、同じくシングルヴィンヤードシリーズから、カルメネール。熟したカルメネールを手摘みで収穫し、フレンチオーク樽で14カ月、ステンレスタンクで1か月丁寧に熟成しています。



香りはブラックベリーやブルーベリーの熟した黒い果実とスパイシーな香りがあり、微かにコーヒーやビターチョコレートのようなニュアンスもあります。フルボディで、熟した果実の凝縮された味わいとまろやかな口当たりが特徴です。



このワインには、「鴨の赤ワインソース 栗の渋皮煮添え」を作ってみました。



塩コショウをした鴨肉の皮目を下にしてフライパンでソテーし、さらに120℃のオーブンで15分ゆっくり火を入れます。オーブンから取り出した後はアルミホイルに包み少し休ませ切り分けます。赤ワインソースは、赤ワイン、フォンドボー、みりん、蜂蜜、バルサミコ酢に栗の渋皮煮とそのシロップを加えて煮詰めます。今回は、イチジクの赤ワイン煮もあったので、追加で入れています。甘酸っぱい赤ワインソースが鴨肉の旨味を引き立てています。





さらに、カルメネールを口に含むと、鴨肉のしっかりとした旨味とカルメネールのスパイシーさが絶妙に溶け合います。栗とイチジクとのバランスも良く、ぽってりした栗の渋皮煮が赤ワインソースをまとい、さらに栗のほっくりした甘さともカルメネールはピタリとハマりました。



そして、3本目は、レゼルバ・エスペシャル ヴァレー・コレクション メルローです。レゼルバ・エスペシャル ヴァレー・コレクション シリーズは、その「適地・適品種」のコンセプトのもと、各産地(ヴァレー)に最適な品種を選び、それぞれの品種や産地の個性をよりはっきりと表現したプレミアムシリーズです。このシリーズからはメルローをセレクトしました。



プラムやブラックチェリーが中心にありつつ、ココア、ペッパー、コーヒーやトーストした樽の甘い香りがかすかに感じられます。タンニンが豊富ですが、滑らかで丸みがあり、果実味豊かで長くエレガントな余韻が魅力の1本です。こちらには、ちょっとお夜食に、または軽めの夕食でワインをゆっくり楽しみたい・・・。そんなときに簡単に作れるのがおなじみ「カボチャのスープ」。チーズとパンを添えてワンプレートにしてみました。



とはいえ、カボチャのスープを一から作るとなると裏ごしなど結構な手間がかかります。そこでレトルトやインスタントのカボチャのスープを使ってしまいましょう。ただし仕上げがポイント。生クリームを回し掛け、さらにナッツやバニラの香りづけしたインスタントコーヒーをさっとひと振り。これで驚くほどヴァレー・コレクション メルローにマッチします。チーズもブルーチーズなど比較的、塩気のあるチーズにチョコレートシロップをかけていただくとメルローの中にあるコーヒーやココアのニュアンスと同調し、手軽な食材でワインに合うプレートになります。

スイーツと赤ワインの相性

さらにこの時期ならではのスイーツと赤ワインの相性も探ってみましょう。王道、モンブランと赤ワインです。



モンブランは栗をペースト状にしたものとクリーム、そしてアーモンド風味のメレンゲを使ったダックワーズが土台になっているケーキです。今回の3本をそれぞれペアリングした結果、最も相性が良かったのは、8グレープスでした。



栗のねっとりしたクリームと中のシャンティ(生クリーム)がワインを調和することでそれぞれの個性がより引き立つ印象です。栗や生クリームの甘さが上品に際立ちつつ、8グレープスの果実感がより一層感じられ、この組み合わせはとても良かったです。



ちなみに、貴腐葡萄と遅摘みのリースリングから造られたコノスルの甘口ワイン、コセチャ・ノーブレをモンブランに合わせたことがあります。

https://conosur-lovers.jp/article/entry-234.html



コセチャ・ノーブレは非常に親和性が高く、一体感がありますが、今回の8グレープスはそれとは異なる面白さがありました。





その次に合うのがレゼルバ・エスペシャル ヴァレー・コレクション メルローでした。アーモンドの風味がよりメルローとリンクし、スモーキーな味わいに口中が変化します。少し大人のペアリングといった印象。



カルメネールを合わせてみると、ちょうど8グレープスとメルローの中間のような味わいを感じます。コーヒーのような香ばしい香りが口中に広がり、また一方で赤ワインの果実味や酸味を感じ、フルーツ系のスイーツにコーヒーを合わせたような印象のぺアリングになりました。赤ワインとスイーツ、いずれもとても面白いペアリングでした。



秋の夜長には赤ワインが良く似合います。この時期ならではの食材と今回セレクトした赤ワイン3本、是非、お試しください。


シングルヴィンヤード 8グレープス
シングルヴィンヤード 8グレープス
8品種をブレンドした、コノスルの全く新しいコンセプトのワイン。それぞれの品種が織り成すハーモニーが素晴らしく、時間の経過と共に楽しめる。


シングルヴィンヤード カルメネール
シングルヴィンヤード カルメネール
ペウモ葡萄園の第28区画「ラ・リンコナーダ La Rinconada(=コーナー)」の葡萄を使用。赤い果実のジューシーな味わい、とてもバランスが良い。カルメネールの良さがしっかりと引き出されている。


レゼルバ・エスペシャル “ヴァレー・コレクション” メルロー
レゼルバ・エスペシャル “ヴァレー・コレクション” メルロー
熟成は11ヶ月。70%樽、30%ステンレスタンク。プラム、ブラックベリー、チェリー、カシスなどの黒果実の香りの他にほのかなピーマン、モカ、チョコレートも感じる。複雑性と凝縮感を感じさせ、熟成した果実味が柔らかで丸みを帯びたタンニンと調和している。

この記事を書いた人

竹内 綾恵美

たけうち あけみ

竹内 綾恵美

  • (一社)日本ソムリエ協会認定 ワインエキスパート

料理が大好きで、国内外問わず、旅先では必ず市場を訪れる。アルコールはあまり得意ではなかったはずが、ワインに出会い、味わいはもちろんのことワイン文化の奥深さに魅了される。2019年にワインエキスパート取得し、ワインと食の追求に邁進する日々。